ベネッセ教育総合研究所
指導変革の軌跡 埼玉県・私立淑徳与野高校「生徒の”個”と向き合う指導」
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教師の本気度を生徒に伝える授業アンケートの実施
 以上のように、同校では生活・学習の両面に渡って「生徒の”個“と向き合う指導」が推進されている。だが、そのためには教師が本気で生徒に向き合うことが絶対に必要だ。そこで同校では、およそ10年前から、図2に示した生徒による授業アンケートを活用して、教師側のモチベーションの維持・授業内容の改善を図っている。質問欄は全部で9個設けられているが、学校全体で統一している質問項目はそのうち7個まで。残り2個は、各教師の問題意識に応じて、自由に質問文を変えられるようになっている。
図2
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 「アンケートの実施当初は、自分の授業が評価されることに抵抗感を持っている教師もいましたが、結果をどのように使うのかを本人に任せたこと、そして何より、生徒たちが真面目に記入してくれることもあって、最近ではアンケートを積極的に評価する声が増えてきています。活用方法については特に縛りを設けてはいませんが、分析会を開いて対応を模索する教科も出てきています」(味沢先生)
 更に、このアンケートの独特な点は、実施時期を年度末とはせずに、あえて夏休み前の7月に設定していることだ。黒田貴先生は「その狙いは授業改善に教師が本気で取り組んでいることを生徒に知ってもらうため」と語る。
 「アンケートを年度末に行っては、教師が結果をどう受け止めているのか生徒は知ることができません。年度替わりで教科担当が変わってしまえば、授業改善が本当に行われているのかどうかも分かりません。そこで本校では、年度途中にアンケートを実施し、生徒にその結果を伝えられるようにしています。最近は、夏休み明けの最初の授業でアンケートの結果を生徒に公表し、改善点を『マニフェスト』として提示する教師も増えてきています」
 こうした一見小さな取り組みが、生徒との信頼関係をより強固なものにしているのだ。


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