ベネッセ教育総合研究所
指導変革の軌跡 埼玉県・私立淑徳与野高校「生徒の”個”と向き合う指導」
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生徒の信頼の確保そして、学年を越えた情報共有に成果
 同校で各取り組みの深化が始まってから3年目。02年度入学生は現在3年生になった。「卒業するまで成果は分からない」としつつも、佐藤明弘先生は生徒と接する中で確かな手応えをつかんでいるという。
 「教師との緻密な付き合いをしてきたせいか、進路面談などをしても、例年よりもきちんと教師の言うことを受け止めてくれる生徒が増えてきたように思います。『私のことをずっと見てきた先生の言うことなんだから話を聞いてみよう』、『この先生のアドバイスなら信じられる』という信頼感が、生徒たちの間に芽生えているようですね」
 一方、学年間で指導ノウハウを交換し合う雰囲気が高まっているのも大きな成果の一つである。元々同校では、校内LANを活用して、指導に使ったプリントや生徒資料を教師間で共有する体制が整っていたが、特に「HRノート」を使った指導については、学年を越えた運用実績の交換と、それに基づくフォームの改良が頻繁に行われるようになった。例えば04年度入学生については次のような改良が加えられている。
 「『自学自習の習慣を早期に確立させる』というコンセプトをより前面に押し出して、スケジュール管理に関わるページを大幅に増やしています。また、判型も携帯性を考えて小型化し、一種のシステム手帳のような運用形態を模索しています」(加藤先生)
 もちろんその逆もしかりである。
 「今年の3学年では、定期テストの反省を書かせる欄に、保護者の通信欄を設けていますが、実はこのアイディアは、04年度の1学年のアイディアを頂いたものなんです」(長尾先生)
 生徒との関係づくりを重視した地道な取り組みは今、生徒―教師の関係のみならず、学年を越えた教師同士の関係、そして学校全体の空気をも変えつつあるようだ。


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