ベネッセ教育総合研究所
大学改革の行方 大学競争時代の幕開け〜グッド・プラクティス
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厳正な審査により公正性・客観性を確保
 特色GPの特徴は、大学教育に関わる内容で実績を上げているものであれば、どのような取り組みでも申請可能なことである。文部科学省は特色GPの募集に当たって、図2に示した5テーマを例示しているが、ここに挙げた5つ以外でも前述の(1)(2)の条件を満たしていれば応募できる。ただし「主役はあくまで学生」と、文部科学省から特色GPの審査を受託している大学基準協会の工藤潤氏は強調する。
図2
 「どれだけ優れた取り組みであっても、それが学生の教育に実質的にフィードバックされるものでなければ、評価の対象にはなりません。例えばテーマ例(5)は、『地域と連携して生涯学習支援や地域文化の活性化などで実績を上げている取り組み』を扱うものですが、社会貢献の面では優れた取り組みであっても、教育に還元されていないという理由で選定から漏れた大学もありました。学生の教育に効果を上げ、かつ他大学への波及再現性も期待できるということが選定の大前提になっているわけです」
 特色GPの審査の流れは図3に示した通りだ。
図3
各大学からの申請書類を、テーマごとに設けられた審査部会に所属する評価者(一部高校関係者を含む)が評価所見をまとめ、それを基に各部会で検討する。この段階が実質的な1次審査となり、約2割の大学が2次審査となるヒアリングに進む。ヒアリングでは各大学によるプレゼンテーションが行われ、ここで1割強に絞られる。更に、総合評価部会で2次審査で補欠となった大学がふるいに掛けられ、最終的に申請の約1割が採択される。
 国から補助金が支給される以上、特色GPの評価には公正性・客観性が求められる。そのため大学基準協会では、「評価の視点の明確化」「評価者間の共通理解」の2点を重視し、評価の公正性・客観性を確保するように努めているという。
 「審査をする上での最大の課題は、他大学との比較ではなく大学個々の取り組みを見る絶対評価であるため、どうしても主観的な評価に頼らざるを得ない部分もあるという点です。そのため、評価者が共通の認識・理解を持って評価できるようすべてのテーマに共通する評価の観点を、実施プロセス・特色性・組織性・有効性・将来性の5観点から明確化すると共に、評価者間の共通理解を促すために、各部会で徹底的に議論をしてもらいました。議論をして意見を集約していく中で客観性を高めることができたと思います」(大学基準協会・工藤氏)


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