ベネッセ教育総合研究所
特集 学校組織の機能活性化
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各種会議によって組織の活性化を図る
 以上のように、尾道北高校では、学校組織全体の目標設定からその実現に至るまで、極めて合理的な組織運営が行われていることが分かる。特に、いずれの指導シーンにおいても絶えず目標の再確認と共有に向けた取り組みが行われていることは注目すべきであろう。
 だが、こうしたシステムは、一般的にある構造的課題を抱えている。進路から各学年の担任会に至る情報や意志決定の流れが直線的であるために、学年間、あるいは教科間の情報の共有が停滞しかねないという課題である。実際、この点については尾道北高校の教師たち自身が、大きな課題として認識している。
 「特に注意が必要だと思うのは、多くの情報が担任会に集中してしまう危険性があることです。求心力の高い集団であるが故に、一旦それが悪い方向に作用し出すと、『内部での議論は非常に活発だが、外から見ると何をしているのか分からない』というような状況にもなりかねません。よく、学年間連携が取れていない状況を『一つの学校の中に学校が三つある』などと言ったりもしますが、求心力の高い集団を組織につくった場合、その危険性には十分注意する必要があると感じています」(高田先生)
 そこで尾道北高校では、担任会に集中しがちな情報や指導ノウハウを、定期的に学校全体で共有化し検証する機会を設けている。3学年主任の伊藤章良先生によると、年に3から4回のペースで開催される「進路診断会」(1〜2年次は「志望校検討会」)は、それらの中でも特に大きな意味を持つ取り組みのようだ。
 「『進路診断会』や『志望校検討会』は、学年の教師全員と関係教科担任が参加して、生徒一人ひとりの学力を分析し、希望進路の妥当性を検証するための会議です。3年生の『進路診断会』については、他の学年からも学年主任については参加を義務付けています。この場を通じて学年、分掌を越えて情報を共有し、検証することが、指導ノウハウのブラッシュアップや継承にも大きな役割を果たしていると感じています」
 情報共有を意図した取り組みはこれだけにとどまらない。年度当初に行われる「新旧3年担任連絡会」や週1回のペースで開催される「学年主任会」といった各種会議体(図4)も大きな役割を果たしている。進路から各学年に向かう目標設定の流れをつくると同時に、それらのヨコの連携をも強化することで、組織全体を活性化しているのだ。
図4


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