ベネッセ教育総合研究所
特集 高大連携の未来形
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高―大―院の接続を目指して改革を進めたい
 以上のように、中央大商学部では、高大連携を一過性の取り組みとしてではなく、選抜制度や学部入学後のカリキュラム編成までも含めた継続的な取り組みとして捉えている。つまり、教育の連続性を見据えた高大連携を行っているのだ。高校側でもこうした取り組みに対する評価は高く、中央大にも高い合格実績を持つ東京都立八王子東高校の寺島求先生は次のように語る。
  「早期に合格した生徒への入学準備教育が、大学側の責任において行われる点を高く評価しています。大学の学びへのスムーズな移行と共に、生徒の学習意欲を継続させる面からも効果的だと考えます。実際、本校からの入学者の満足度は高いのです。こうした取り組みは今後、大学評価の観点としても一層重要になるでしょう」
 だが、酒井教授は、中央大商学部の今後の目標を更にその先に描いているようだ。
  「商学教育の専門性は益々高まっていくことが予想されますから、連携の目標を更に高め、高―大―院が連携した教育システムを確立する必要があると感じています。例えば、商学分野では国際的に活躍できる会計士の育成が求められていますが、こうしたニーズに対しては、院卒を前提としたキャリアデザインを保証できるシステムが必要でしょう」
  取り組みの中には既に動き始めているものもある。中央大では、世界レベルで通用する会計士の育成を目指し、02年度に専門職大学院として「アカウンティング・スクール」を立ち上げている。また、既存の大学院の「ビジネス専修コース」には、学部との相互乗り入れにより、学部生が受講できる授業が既にいくつか設けられている。
  商学部が先行する形でスタートした一連の改革の成果を受け、中央大では今、全学部で同様の取り組みを実施するべく、新たな体制作りが検討されている。入学準備教育から大学院への接続までも見据えたこの改革がどこまで進むのか、今後の動きに注目していきたい。


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