ベネッセ教育総合研究所
特集 保護者と「共育」する学校づくり
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保護者の疑問にすべて回答して信頼を得る
 学校側のメッセージを確実に保護者に伝える努力と並行して、知立東高校が保護者から寄せられた疑問に、着実に応える努力を心掛けていることも注目される。中でも中心的な取り組みは、進路指導部が実施している保護者向けの「進路希望調査」である(図2)。
▼図2 「進路希望調査」
図2
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  「進路希望調査は年2回、4月と9月に実施するアンケート調査です。生徒・保護者の進路に関する意見を収集することがその狙いですが、アンケート用紙には必ず自由記述欄を設け、学校に対する保護者の意見を広く集められるよう配慮しています」(杉浦先生)
  このアンケートの結果は、先に紹介した保護者会の場を通じて公表されている。しかもその際には、一つひとつの意見に対して丁寧な回答が付けられるのだ。その分量はA4用紙で10枚ほどにも及ぶ。
  「類似の質問点についてはまとめていますが、基本的には寄せられたすべての意見に回答しています。学校として公式な回答を出すことは、アカウンタビリティの確保にもつながりますし、他の保護者の疑問とその回答に触れることは、保護者の方々がより深く学校について知ることにもつながると思うのです」(岡田先生)
  プリントの配付を保護者会で行っていることからも分かる通り、この取り組みは学年団の取り組みとも密接に関連している。1学年主任の加藤幾保先生は、その意義を次のように説明する。
  「学年団の教師にとっても、進路指導部が個別の問題について学校としての『公式見解』を示してくれる意義は大きいですよね。似たような質問を受けた場合に、教師によって対応が異なるようなことがなくなりますし、経験の浅い先生が、保護者の持ちやすい疑問点について知ることもできます。一方、学年団の方でも、進路指導部に対して情報提供を行います。保護者会や日々の業務の中で寄せられた保護者の疑問は逐一報告して、アンケートの回答と一緒に回答していただいています」
  担任、学年主任、進路指導部が足並みを揃えた情報提供を行うことは学校活動の基本であるが、それは結果的に保護者の信頼を得ることにもつながるのだ。


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