ベネッセ教育総合研究所
大学改革の行方 教員養成改革の方向性
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教育問題に立ち向かうタフネスが求められる
 それでは、教員養成系大学が変わりつつある中、教員を目指す学生はどのような心構えを持って臨めばよいのだろうか。東京学芸大・岩田助教授は「教員になりたいという強い目的意識を持つことが、必ずしも望ましいとは限らない」と指摘する。
  「教員を目指して教員養成学部に入学してくる学生の多くは、学校や教師に対して素朴な憧れを持っています。良い先生に出会えた、良い授業を受けることができた、という実体験が志望動機になっていることが多い。一見、教師を目指す動機としては理想的に思えますが、こういう学生は学校で傷付いた経験が乏しいなど、学校や教育について批判的・構造的に見ることができない場合も多いんです」
  例えば、不登校の問題を扱う場合でも「それは生徒が悪いからだ」という発想から抜け出せない場合もあるという。そして、現実の様々な教育問題を知るにつけ、萎縮してしまう学生が相当数いるというのだ。「これから教員を目指す学生には、教育問題に真正面から立ち向かうタフネスこそが重要」と岩田助教授は強調する。
  また進路指導については、生徒の気質や志望度合いによって、検討することが望ましいという。
  「教員養成課程は教員免許取得が卒業要件の一つですから、まだ迷いのある学生については、オプションとして教員免許が取得できる一般大学が向いているのかも知れません。また、同じ教員養成課程でも大規模校は幅広く学べる反面、自ら学ぶ姿勢を持った学生でなければ置いて行かれる危険性がある。ですから志望理由が明確でやる気に満ちている学生には向いているでしょう。逆に、小規模校は手厚い指導を行っているところが多いですから、積極性に乏しい学生にはそちらの方が向いているかも知れません。進路ミスマッチをなくすためにも、生徒の適性に応じた進路指導が必要だと思います」
 「今ほど学校現場の一層の活力回復が期待されている時代はない」と宮城教育大・横須賀学長は指摘する。一連の教員養成改革が日本の教育を変える転換点となるのかは、今後の教育行政の在り方と大学改革の進展にかかっている。

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