特集 「大学入試分析」を生かす
平塚雅英

▲長崎県立長崎北高校

平塚雅英

 Hiratsuka Masahide
教職歴23年。同校赴任歴6年目。進路指導主事。「生徒の志望実現に向けて、質の高い情報を提供し続けたい」

広田耕二

▲長崎県立長崎北高校

広田耕二

Hirota Koji
教職歴21年。同校赴任歴7年目。進路指導部。「生徒が後悔しないよう早期から意識付けをしっかりしたい」

南昌伸

▲長崎県立長崎北高校 (09年4月から長崎西高校に転任)

南昌伸

Minami Masanobu
教職歴30年。同校赴任歴15年。進路指導部。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「北高ボーダー」の作成を通し「感覚としての勘」を磨く

 一連の検討会の基となる「北高ボーダー」を作成する大学は、生徒の志望校と、過去に同校から進学実績のある大学で、九州・中国・四国・関西を中心に全国の国公立大の約3分の2を網羅する。作成に携わる教師は、進路指導部を中心に1・2年生の担当教師も含めて30人。09年度入試では、関東・関西、中国、四国、北九州、南九州の5グループに分かれて作業をした。3年生の担任は学級の生徒を個別に検討するため、ボーダー作成には参加しない。
 作成の手順は次の通り。各社のデータが集まったら、傾斜配点でのBラインをボーダー表に記入する。各社で算定基準が異なるため、同じ学部・学科でもA社は615、B社は560と、大きな開きが出る場合もある。その時は客観性を高めるために、センター試験の平均点、各社の過去数年分のボーダーと実際の入試結果との比較、過年度生の達成状況、更には各社のボーダーの決め方の傾向や当該年度の特殊要因を加味しながら、学校独自のボーダーを設定していく。
 ただ、いくら客観的なデータを積み重ねても、個々の大学の出願動向など、この時点では予測しきれない要素がある以上、完璧なボーダーを設定できるわけではない。同校で長年、進路指導主事を務めてきた南昌伸先生は、次のように語る。
 「そもそも、各社のボーダー自体が出願者数に影響を及ぼしますから、そうした不確定要因を踏まえて合格可能性を探る『読み』が必要です。可能な限りデータを集めて検討していますが、最後にものを言うのは、長年の経験に基づく『勘』です。それは根拠のない『直感』ではなく、データや経験に基づく『感覚の勘』とでもいうべきものです。そうした勘を磨くには、何よりも経験が必要。毎年、3年生以外の教師にも参加してもらうのは、なるべく多くの実践を積み重ね、分析に必要な『感覚』を研ぎ澄ましてもらいたいからです」
図2「北高ボーダー」例
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図2
「北高ボーダー」は、各大学の入試方式ごとに設定する。募集人員、センター試験と個別学力試験の配点、各社のBラインを記入し、過年度の合格点も考慮しながら、長崎北高校独自の合格ラインを割り出していく。これを基に、生徒一人ひとりの出願先を検討する
*長崎北高校「北高ボーダー」を基に編集部で作成

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