調査データから探る指導のヒント 約4割の大学生が 保護者の意見を聞き、助けてもらう
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調査データから探る指導のヒント vol.4

約4割の大学生が 保護者の意見を聞き、助けてもらう

ベネッセ教育研究開発センター「大学生の学習・生活実態調査報告書」より
図:保護者との関係(全体・性別)

出典◎『大学生の学習・生活実態調査報告書』/調査時期◎2008年10月/調査方法◎インターネット調査/調査対象◎18〜24歳の大学1〜4年生(ただし、留学生、社会人経験者を除く)/有効回答数◎4,070名

意思決定や問題解決を 自分でする学生は6割

 今号の特集は「生徒の自立」がテーマだが、大学生の自立はどのような状況にあるのか。は、Aは保護者への依存度、Bは学生の自立度を表す指標とみなし、大学生に自分の状況に近いものを選んでもらったものだ。意思決定や問題解決の面では、Bの「自分でする」という回答が6割を占めた(図1、2)。一方、金銭面では、AとBの比率が逆転し、Aの「保護者が援助してくれる」が6割を占めた(図3)。また、女子は、男子よりも親への依存度が高い傾向にあった。

子どもを「見守る」大切さを 保護者に伝え、親子の自立を促す

 意思決定や問題解決を6割の学生が自分でしているという結果を、「自立」と見なせるのか。高校現場からは「大学生の4割が保護者の関与を受けているとは、自立が遅れているのではないか」という声があった。背景には社会情勢との関係が推察される。9月号の本コーナーで「日本は厳しい社会だと認識し、将来像が描けない」という今の大学生像を紹介した。これと照らし合わせて考えると、大学卒業後の経済的自立に不安があり、親を頼るしかないという意識が透けて見える。「金銭面で支援を受けているから意見を聞く、という状況なのではないか」という指摘もあった。
  また、「保護者は、子どもを早く自立させようとは思っていないのではないか」という意見もあった。例えば、安全志向で志望校を選ばせるなど、子どもの失敗やつまずきを排除しようとし、それが結果として自立を阻害しているというのだ。
 保護者は、自分が経験してきた時代とは社会環境が大きく変わり、子どもにどう接すればよいのか分からず、状況を把握しておきたいために必要以上に子どもとかかわろうとしていると推測される。高校としては、保護者に進路情報や学校の様子などを適宜伝えて不安を軽減させ、子どもを「見守る」ことが自立につながるのだと伝えたい。

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