ベネッセ教育総合研究所
特集 教師の「授業力」向上のために
淀江小学校データ
 淀江町は鳥取県西部に位置し、北に日本海を臨み、南に中国地方最高峰の大山を仰ぐ人口約9千人の町。主な産業は農業だが、隣接する米子市のベッドタウン化も進んでいる。淀江小学校は「教育の町」として知られる同町唯一の小学校で、地域の関心・期待も大きい。2003年度から「日本一元気な学校づくり〜地域の文化・情報センターとしての学校づくり〜」を目指し、学校評価をはじめとした多方面の取り組みを「元気に」展開中。
〒689-3403 鳥取県西伯郡淀江町西原244-2
TEL 0859-56-3031
FAX 0859-56-3032
http://www.torikyo.ed.jp/yodoe-e
校長/田中秀明先生
児童数/492人
学級数/20学級
田中秀明校長
▲田中秀明校長
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実践事例(2)
鳥取県淀江町立淀江小学校
全教員がすべての子どもをみる学校をめざして
〜職員室から学級・学年の壁を取り払う〜
 2003年度から「日本一元気な学校づくり」を進めている淀江小学校は、学校評価で明らかになった課題に対し、プロジェクトチームの新設や校内研究会の充実によって取り組もうとしている。一人ひとりの教師の力を生かし、集団としての教師の指導力を高めようとする同校の取り組みには、技術だけでは語れない授業力向上の原点がありそうだ。


休み時間の職員室は子どもでいっぱい
 淀江小学校の職員室は、長休憩や昼休み、放課後になると、子どもたちでいっぱいになる。職員室にいる教頭先生や学級担任を持たない級外の先生に問題を出してもらうのだ。
 「チャレンジお願いします。計算5問やってください」
 2年生のAくんの課題は、くり上がり・くり下がりのあるたし算ひき算。2年担任の森廣浩子先生にきいた。
 「チャレンジカードは、計算が苦手な子どものうち希望した子に渡しています。『苦手なのでこれにチャレンジしてみよう。先生だけじゃ見ることができないので、教頭先生が見てくださるというんだけど、行ってみない?』ってきくと、すごくノリノリになって」
 いろいろな先生に見てもらって、スタンプが10個もらえるカードが1日でいっぱいになる子もいるという。
 「見てくださる先生が、ステップアップできるように問題を出してくださいますので、教室で『わからーん』と行き詰まっている子どもたちとはまるでようすが違うんですよ。教室では埋もれがちな子どもたちが、休憩時間になったら、『チャレンジカード行ってきまーす!』って、すごく喜んで…」(森廣先生)
 実際に計算の力もついてきた。4月に「1+1」から始めた子どもたちが、7月は、くり上がり・くり下がりのある計算でも、すっと答えを言えるようになった。
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きっかけは職員室での情報交換
 このクラスが1年生だった03年度、森廣先生は放課後の勉強会を続けてきた。授業中だけの学習では26人全員の学力補充が難しかったのだ。
 職員室で同学年の先生に相談していたが、勉強会以外にはよい方法が見つからない。「自分でなんとかしようと、一人で問題を抱え込んでいた」(森廣先生)
 今年度、2年生に持ち上がったときに、西村秋仁教頭が声をかけた。
 「担任だけではうまくいかない場合には、一人で苦しむ必要はまったくない。みんなで取り組みましょう。休憩時間に、校長、教頭、教務など担任以外の先生のところに子どもを来させたらどうだ。算数のたし算を毎日3分間させてみようや」
 こうして始まったチャレンジカードは、毎週水曜日の校内研究会で紹介され、算数の計算ばかりでなく、3年国語の百人一首、5年社会科の県名など、他の学年にも広がり始めた。
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▲チャレンジカード(音読)の子どもたちでいっぱいの職員室。
課題ができたら、カードにスタンプと先生のコメントをもらう


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