ベネッセ教育総合研究所
富山県富山市立熊野小学校
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パソコンは授業の主役でなく
ねらい実現のための道具
 前ページは、同校情報教育主任の渡辺純恵先生による、デジタルコンテンツを使った4年生の体育の授業例だ。渡辺先生は、ITの知識・経験が豊富で、NICER(教育情報ナショナルセンター)のコンテンツ(ソフトウエアの内容)整備にかかわったこともあり、同校の実践の先頭に立つキーパーソンだ。
 そんな渡辺先生は、デジタル教材を使った授業では、「IT活用が授業のねらいにかなっているか」を考えることが最も大切だという。
 「子どもはデジタル教材が大好き。特に動画は、どんな子どもも食い入るように見ます。だからこそ、使い方に注意が必要なんです」
 以前、理科でデジタル教材を使ったとき、子どもたちはよく発言し、授業は成功したと思っていたが、テストをしてみると知識が定着しておらず、結局、教科書をやり直さなければならなかった。そんな苦い経験から、「ねらいにかなっている」ことの大切さを痛感したのだ。
 渡辺先生が研修会や自らの実践などから学んだ、デジタル教材が有効に働くケースは次の三つ。
1 実際の体験が難しい内容を教える(理科の天体の観察など)
2 技能を高める(体育で逆上がりの手本を見せるなど)
3 わかっていそうでわかっていないところを補う(社会科見学後の授業で、見過ごしてしまいがちな点の注意喚起など)
 紹介した体育の授業なら、「技能を高める」ために、動画によるお手本を提示し、イメージをつかませるのがねらい。パソコンは、学習カード、教具(補助ベルト)と並列の位置づけに過ぎない。
 パソコンで授業をすることが目的ではなく、授業の目的を達成するためにパソコンを使う。使い方も、「@発見島Movie」(注2)の映像を自分で開いて見るだけというシンプルなもの。子どもが基本的なパソコンの操作さえ習得していれば、先生に特別な技能がなくても実践できる。

注2 @発見島Movie
学習効果の高い動画を厳選して、教科別・単元別に収録した動画教材のデータベース。国語、算数、生活、理科、社会、体育、総合など、教科書単元にそった内容の多彩な動画が用意されており、プロジェクターでの教材提示や調べ学習に利用できる。


 校庭にパソコンを持ち出すという発想の自由さ。授業で「でしゃばらない」程度のパソコンの存在感。シンプルな使い方。そのどれもが、「ITを当たり前に使う」ためのポイントだ。


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