ベネッセ教育総合研究所
特集 保護者の教育力を生かす学校づくり
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保護者も「教える側」の視点で指導案づくりにかかわる
 児童が本物にふれたり、その道の専門家の指導を受けられること以外に、保護者の参加で、担任一人では目の行き届かない部分を補えるというメリットもある。
 例えば、04年度2学期、6年生の家庭科の調理実習では、六つに分かれた班が栄養のバランスを考えた4〜5品のメニューをそれぞれに考えて作った。
「調理方法や作業手順が各班で異なるため、教師一人ではとても見ることはできませんが、子どもの健康的な生活を支援する『すこやか委員』の方々が前時の打ち合わせから授業に参加し、各班に一、二人ずつ入ってくださったことで、調理中の細かな指導が可能になり、料理のすべてが時間内に、手際よくできました」
 こう語るのは、教務主任で、家庭科の授業を担当している後藤輝子先生だ。
 また、保護者の意識も年々高まってきている。例えば「生活科支援委員会」。1・2年生の生活科を支援するもので、野外の体験授業にも同行したりする(写真4)。
▼写真4 年に2回行われる1・2年生の生活科の野外体験授業に保護者が
参加し、担任1人では目の行き届かない部分を補う
写真
 入学したばかりの子どもの面倒を見たいという気持ちから参加率は高く、活動参加のきっかけとしての役割も大きい。保護者から3年生以降も同様の支援をしたいとの声が上がり、「総合的な学習の時間」の支援を行う「学びタイム支援委員会」が発足するなどの広がりもみせた。
 問題なのは保護者が授業のねらいをしっかり理解していないと、参加すること自体が目的になり、「親子一緒で楽しかった」で終わってしまうことだ。その結果、授業がうまくいかなければ、教師はあとから修正しなければならない。それを防ぐために石川小学校が徹底しているのは、「事前に教師と保護者がよく話し合い、綿密な指導案をつくること」だと後藤先生は言う。指導上の留意点や評価の観点を明記することで、保護者も授業の「ねらい」を意識しながら、「教える側」の視点で授業に臨むことができる。
 これは保護者以外の地域の方たちが参加する場合でも同じだ。
「指導案は、次年度の計画を立てるうえでも、新しく赴任してきた教師が学社融合活動を理解するうえでも貴重なよりどころとなっています」(後藤先生)


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