ベネッセ教育総合研究所
特集 保護者の教育力を生かす学校づくり
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学校と保護者が高め合った教育力を
家庭や地域に広げる
 保護者参加のさらに大きなメリットは、活動を通して、教師と保護者の信頼関係が構築されることだ。それは、コーディネーターの言葉からもうかがえる。
「参加してみて、先生の大変さがよくわかりました。課外活動でも、全員に目を配るのは、先生一人では難しいですよね」(高木和子さん)
「参加する前は先生は遠い存在だったのですが、いまでは、子どもについて気になることを気軽に相談できるようになりました」(千田晃子さん)
 国際交流市民組織「グローバル・グループ」の代表として、取り組みが始まった9年前から中心的に活動にかかわり、学社融合推進会議代表も務める山本和子さんは、取り組みの成果をこう語る。
「先生と保護者との信頼関係は確実にできてきました。多くの目が子どもたちを育てているためか、いじめも不登校もほとんどありません」
 ただ、学社融合の本当の目標はもっと先にあることも山本さんは忘れていない。
「これからは、参加者がこの体験を学校にとどめず、もっと家庭や地域に持ち帰っていくべきです。本来、包丁の持ち方を学んだり、さまざまな体験をしたりすることは、家庭や地域に高い教育力があればできることです。学校の教育力だけでなく、家庭や地域の教育力も向上させることが学社融合の本来のねらいです。それがときに見えにくくなっていることが、いまの課題ですね」  その理念を受け継ぐため、学校では会合などで事あるごとに学社融合の理念を再確認するようにしている。また、保護者が活動を通じて高めた教育力を発揮し続けることができるよう、学習支援委員会は子どもが卒業してもずっと続けられるシステムにしている。
 学校・保護者・地域が高め合った教育力が、学校の枠を超えて、さまざまな場面で広がってこそ、石川小の実践は本当の意味で実を結んだといえるのだろう。


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