ベネッセ教育総合研究所
立山小学校
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一人の教師に大きな責任を与える「一役一人制」
 公開授業において、一人ひとりの教師が率直な意見を述べられる学内の雰囲気は、日ごろから田村校長が提唱する「ボトムアップの精神」が周知されていることが大きい。田村校長は、教師一人ひとりの判断を信頼することの大切さを繰り返し強調する。
  「当校では、03年度からノーチャイムの制度を採っていますが、これも一人の教師の発案から導入しました。当初は不安もありましたが、導入後半年ほどすると、かえって時間を気にする児童が増えたんです。改めて、現場の教師に備わる視点の確かさを思い知りましたね」(田村校長)
  朝日ヶ丘小学校は、児童の半数近くが私立中学を受験するため、放課後には学習塾に通う児童が多く、地域とのつながりが希薄になる傾向があった。週に1回、学年を超えた縦割りのグループでゲームなどを楽しむ「あさひタイム」も、そうした状況を懸念した現場の教師の声から始まった試みだ。毎日の掃除も、同じ縦割りのグループで行われ、高学年は低学年に掃除の仕方を教えることで、リーダーシップを学んでいる。修学旅行の際には限られたお小遣いで、高学年の児童がお土産を買い、グループの低学年に渡すことが良き伝統になりつつあり、心の交流が築かれていることがうかがい知れる。
  もう一つ、ボトムアップを徹底した朝日ヶ丘小学校ならではの試みを紹介したい。従来の委員会や小規模な会議をことごとく廃し、一人の教師に大きな責任を与える「一役一人制」だ。この制度の導入により、会議に取られる時間が格段に減り、新たに生まれた時間は、生徒や地域とのかかわり、また評価規準の作成に関する話し合いなど、真に有意義な時間に充てられている。その一方で、月1回、学校改革についての率直な意見を述べ合う「学校教育改革推進委員会」などの重要な委員会では、教師の半数以上が参加し、校長のリーダーシップのもと、学校改革への大きな推進力を生み出している。現場の実態に即応する改革を次々に実施できるその背景には、そうした柔軟な組織づくりがあるのだろう。


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