ベネッセ教育総合研究所
学校現場が長期休業を意義ある機会とするために 夏休みの指導のポイント
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theme3 英語、数学〜基礎固め
1学期の学習内容を毎日復習させるコツ
  夏休みの課題として、社会や理科が「課題探究型」のテーマを設定しやすい教科だとすれば、英語や数学は「基礎・基本の定着」をねらったものが中心となる。
  英語や数学では、2学期の学習にスムーズに入るためには、1学期末までに学んできたことを生徒がどれだけ覚えているかがポイントとなる。反復学習が重要な教科なので、生徒には夏休み中、毎日少しずつでも英語や計算問題にふれさせておきたい。
  ところが普通に課題を出すと、極端な話、夏休みの前半に全部こなしてしまう生徒と、終盤に駆け込みで終わらせる生徒が出てくる。これでは残りの期間、まったく英語や数学から離れてしまうという非常に困った結果になる。
  そこでG中学校の英語が工夫しているのが、課題の提出のさせ方だ。課題提出日を8月4日、24日、9月1日というように登校日ごとに3回に区切っている。そして8月4日までの課題を「ワークシート5枚と、問題集10ページ」と設定したら、生徒にはその分量のみの課題に取り組ませ、「それ以上はやらないように」と指導している。これで生徒は、毎日少しずつ課題に取り組まざるを得なくなるわけだ。
  また課題の内容については、2、3年生には市販の問題集を課すこともあるが、基本的には1学期中に生徒に配ったワークシートや教科書を使った復習が中心。夏休み用の課題プリントを作成することはほとんどない。
  「ワークシートや教科書に取り組みながら、『そういえば授業中にこんな勉強をしたな』と思い出させるのがいちばんのねらいなんです」
  G中学校英語のある教員は授業中、文法や発音などについてのメモは、ノートにではなく教科書に書き込ませるようにしている。これによって生徒は、夏休みの課題として教科書を読み返すうちに、「can'tは“キャント”ではなく“カン”という発音に近い」といった自分が書き込んだメモが目に入り、自然と授業中に学んだことを思い返すというわけだ。
  H中学校の数学も、夏休みに設定する課題は、1学期の復習を中心としたものだ。
  「数学は繰り返し問題にあたることで、感覚が磨かれます。生徒が自主的に発展的な問題に取り組むことは悪いことではありませんが、学校から発展問題を出すことはありません。第一、授業中に指導していない問題を解かせること自体がおかしいと考えています。
  あとは、夏休み中に学校に生徒を呼んでの追指導ですね。生徒や保護者には、『申し訳ないが、1学期中に教えきれなかった部分があるから、追加で指導をさせてください』という言い方でお願いをしています」
  ちなみに、このヒアリングに協力してくれたH中学校数学の教師は、かつて1日1枚のペースで生徒に数学の問題に取り組んでもらうために、42枚の課題プリントを作成したこともあるという。すべてのプリントを終了することで、1学期に学習した内容を、3回繰り返して復習できるように工夫した。問題の内容は、1学期の生徒の学習状況を見ながら、とくに弱点と思われる分野を中心に作問したという。



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