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携帯電話の利用実態 〜第3回〜
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総務省「通信利用動向調査報告書」によると、2007年の携帯電話・PHSの世帯保有率は95.0%に達した。こうしたなか、首都圏の小・中学生をもつ保護者を対象に携帯電話と子ども専用のテレビの所有率を調べた調査結果をみると、小・中学生の携帯電話の所有率は学年が上がるにつれて増加し、中1生で62.0%、中2生で68.4%、中3生で71.2%と、中学生で6割を超えた。小学生においても、小4生30.0%、小5生33.7%、小6生38.2%と、小4生〜小6生ではいずれも3割を超えている。
2002年の同調査と比較すると、携帯電話の所有率は全学年において大きく増加し、全体では2002年の所有率が24.0%であったのに対し、2007年は43.8%と19.8ポイント増加した。とくに小学生の伸び率が大きく、携帯電話を所有する年齢が徐々に低年齢化しているようすがうかがえる。
これに対して、子ども専用テレビの所有率はどの学年においても減少しており、全体では2002年の所有率が24.4%だったのに対し、2007年には15.7%と8.7ポイント減少した。ワンセグ携帯やパソコンなどテレビ視聴ができる機器が増えたことや、携帯ゲーム機のようにテレビに接続する必要のないゲーム機が普及したことが一因と考えられ、小・中学生を取り巻くメディア環境の変化がみてとれる。
小・中・高生を対象に、いわゆる迷惑メールの受信経験についてたずねた調査結果をみると、「チェーンメール」を受信したことがあると答えた中・高生の割合がもっとも高く、高1生で65.5%、高2生で55.9%、高3生で62.6%と、高校生で6割、中学生では3割を超えている。次いで多かったのが「知らない人から」のメールで、中学生の2割弱、高校生の4割弱が受信したことがあると答えている。
さらに、「出会い系サイト」からのメールは、高3生で31.0%、高2生で21.7%、高1生で17.4%が受信したことがあると答えており、また「お金の請求」メールも1割弱の高校生が受信した経験をもつ。実際に「トラブルに巻き込まれた」と答えた中・高生も約3%いた。
出会い系サイトに関連した犯罪被害者の8割が18歳未満といった調査結果もあり(『子どもと安全』第2回【2-2】参照)、フィルタリング・サービス(【3-3】参照)など、携帯電話の利用に関しての注意と工夫が求められる。
パソコンや携帯電話でインターネットを利用している小・中・高生とその保護者を対象に、「フィルタリング・サービス」の認知・使用状況についてたずねた調査結果をみると、パソコンのフィルタリング・サービスを「知っている」と答えた割合は、小学生2.2%、中学生11.3%、高校生16.9%で、小・中・高生の認知度は2割にも満たないことがわかった。また、「知っている」と答えた父親は42.6%、母親は28.9%で、保護者の認知度も決して高いとはいえない。
さらにパソコンのフィルタリング・サービスを「使っている」と答えた小学生は0.5%、中学生は1.0%、高校生は2.7%ときわめて低く、ほとんど利用されていないことがわかった。
同様に携帯電話等のフィルタリング・サービスを「知っている」と答えた割合は、小学生3.5%、中学生7.1%、高校生13.8%、父親32.3%、母親16.5%であり、「使っている」小学生は1.2%、中学生は0.8%、高校生は1.1%となっている。認知度、利用率ともにきわめて低い結果となった。
フィルタリング・サービスについては、本調査(平成19年3月実施)後、総務省からの「青少年が使用する携帯電話・PHSにおける有害サイトアクセス制限サービス(フィルタリングサービス)の導入促進に関する携帯電話事業者等への要請」などを受けて、認知拡大及び利用促進に積極的な取り組みがなされている。
また、社団法人電気通信事業者協会の調査によると、携帯電話・PHS事業者各社のフィルタリング・サービス利用者数実績は、平成18年から平成20年にかけて、63万1千件(平成18年9月末)→210万1千件(平成19年9月末)→342万6千件(平成20年3月末)と推移し、この1年半で約280万人の増加を示している(「有害サイトアクセス制限サービス(フィルタリングサービス)利用状況について」)。