教育フォーカス

【特集8】「一人一台環境における学びの自立を支援する学習モデルの検討」研究より

[第4回] タブレットを家庭に持ち帰り、主体的に自主学習に取り組む(実践を振り返って)  [3/3]

3.課題と期待

今後、子どもたちの家庭学習をさらに充実させるためは、
どのような方法があると思いますか。

家髙:「まなみっけ」に大きな可能性を感じました。一方で、きちんとゴールを見定めて指導する必要性を感じました。例えば、宿題として計算ドリルを課すと、全員がしっかりと取り組みます。家庭学習の習慣化だけを考えると、子どもが自分でテーマを決めて行う家庭学習より、こちらで課題を設定してあげる方法がよいのかもしれません。家庭学習の指導で重点を置くのは、家庭学習の習慣化か、学力の向上か、それとも主体性などの育成か。一人一台のタブレットや「まなみっけ」には、21世紀型学力の向上を含め、多様な指導の可能性があるからこそ、目指す方向を見失わないようにするべきだと感じました。また、今回の「まなみっけ」の実践では、子ども同士がタブレット上で評価し合う機能は、用いませんでした。「ふりかえりの会」などで、お互いのよいところを見つけ、発表し合う取り組みを加えれば、効果はもっと高まったかもしれません。

田牧:学習時間の確保がねらいであれば、「まなみっけ」のような方法がよいですし、家庭学習の内容も広がっていくでしょう。ただ、中学校の様子を聞くと、家庭学習に求められているのは学力向上に直接つながる学習のようです。そうすると、例えば、小学校時代に家庭学習として料理などに取り組むことが、中学校での自主学習につながるのかと考えさせられます。6年生の時点で子どもたちにどんな力をつけたいのかを考えたうえで、家庭学習指導をすることが大切だと改めて感じました。


 

ICTを活用した教育や子どもたちへの期待などをお聞かせください。

土屋:自主学習は、学力向上につながる家庭学習であってほしいと思っています。そのために宿題のプラスアルファとして、いかに自主学習の質を高めていくかを、学校としては考えなくてはなりません。「まなみっけ」の実践を通して、タブレットを活用したり、家庭に持ち帰り実践することは、それを実現するための一つの有効な方法になり得ると思いました。

乙部:「まなみっけ」の実践で子どもたちの持つ可能性や柔軟性に驚かされたことを含め、今の学級の子どもたちと過ごす中で、素晴らしい経験をしています。卒業式を控え、最後まで子どもたちの良さと課題をしっかりと見つめて指導し、一緒に成長していきたいと思っています。

家髙:国語の授業で、「未来の教室」を想像して話し合いをしました。その際、子どもたちは、全ての教科書がタブレットに入っていて、ボタン1つで板書される電子黒板を、当たり前のように思い描いていました。そうなった時に自分にどのような指導が出来るのかは考えなければなりませんが、学校のICT化がさらに進むのは間違いないと思います。子どもたちには、新しい機器や「まなみっけ」などの方法もどんどん学びに取り入れながら、中学校でも自分の力を信じて何事にも積極的に取り組んでほしいと思っています。

田牧:一人一台のタブレットを使った自主学習などを通して、子どもたちの世界が広がっていくのを感じます。タブレットなどを利用しながら自分の好きなことをとことん調べる姿勢を身につけて欲しいと思っていますし、テストの得点を上げるだけではなく、ノーベル賞を受賞するような独創性のある大人に成長してほしいと思っています。そのような自主学習に子どもたちが取り組めるような働きかけ方や方法を考え続けたいと思います。


 ――――― このインタビューは2016年2月に行われました。



  ※今後、「まなみっけ」の家庭での実践による子ども達の意識の変化などを、アンケート結果などからレポートしていく予定です。

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