研究レポート
Research Report

創造性教育の実践報告#1:NPO法人との協働を生かした創造的な学び

  • #社会課題解決
  • #ゴミ問題
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公開2023/3/29

北海道中富良野町にあるゴミ問題。児童はその実態を知り、自分たちにできることを考えていった。町と地域人材、NPO法人との協働を通して、地域課題解決に臨んだ学びを紹介する。

1.はじめに ~中富良野町のゴミ処理の実態~

本町は、北海道のほぼ中央に位置する人口4000人ほどの町である。豊かな自然に囲まれている一方で、町内で出されたゴミは埋め立て処理を行っている。その中で、地域課題として浮かび上がっているのが、ゴミの分別ミスであった。町の行ったゴミの組成調査によると、処理場に搬入される埋め立てゴミのうち4割弱が、分別ミスと判断されている。また、埋め立て処理場の使用可能年数がわずかになってきているという実態もある。今後は近隣市町村と広域分担処理を行う予定だが、分別ミスの課題は今後も残っていくことが予想される。

地球温暖化をはじめとして、地球規模の環境破壊が叫ばれている現代社会。子どもたちが生まれ育ったこの中富良野町の課題に目を向けることが、環境を守るための行動を取る第一歩となると考え、学習の題材として選択することとした。

【中富良野町 町民説明会資料より引用】

2.実践の目的

本実践の目的は、児童に「地域課題に対してできることを考え、創造性を育むこと」である。児童が創造性を発揮していくためには、自ら課題を見つけ、主体的に学習に取り組んでいく単元デザインが求められる。単元が探究的な学びのサイクルの中で進んでいくように、以下のような単元を作成した。

Ⅰ「環境問題について知る」日本・世界・中富良野で起きている問題を知る。(10時間)

  1. 地球の歴史と、今起きている環境問題について知る。(NPO法人“富良野自然塾”との協働)
  2. 世界で起きている環境問題とその解決策について知る。(環境活動家 谷口たかひささんの講演)
  3. 中富良野町のゴミ問題について知る(中富良野町役場 環境担当者との協働)

Ⅱ「立ち向かう人々と出会う」ワークショップ体験を通して、自分たちにできることを考える。(10時間)

  1. 法人活動の紹介&ゴミ分別ナビゲートの体験(NPO法人“Ezorock”との協働)
  2. 法人活動の紹介&日常でできるエコアクション「蜜蝋ラップ」製作体験(NPO法人“i-Pledge”との協働)
  3. 町の課題改善に向けたカードゲームの共同開発(中富良野町役場 環境担当者との協働)
    ※自分にできることを考え、実践する。(家庭)

Ⅲ「未来に向けて行動する」オリジナルワークショップを考案し、発信する。(10時間)

  1. ゴミ問題改善に向けて自分たちにできることを考える。
  2. 発信方法や広告の工夫について学ぶ(道内企業“メディアネットコーポレーション”)
  3. ワークショップ実施のために、目的や相手に応じた準備を行う。
  4. イベント等で学びを発信する。

創造とは、「新しい物を初めて生み出すこと」である。ただ、地域課題に対して、児童が0から新しいものを作り上げていくのは簡単ではない。そのため、NPO団体との協働を通して、環境問題に立ち向かうためのヒントを得ていく単元をデザインした。地域課題を解決するための方法(ワークショップ)を、NPO団体との協働をヒントに生み出していく力を「創造性」と捉えて本実践に臨んだ。

3.実践内容の紹介

【第一次】「環境問題について知る」

学習の導入に当たっては、社会課題(ここでは中富良野におけるゴミ問題)についての問いが児童の中から生まれるように工夫した。まず、NPO法人“富良野自然塾”の環境教育プログラムに参加することで、身近にある自然の大切さや人間が自然環境を破壊してきた問題に目が向くようにした。一方で、児童からは「中富良野町に環境問題はないのでは?」という疑問も生まれた。家族に聞いたり、タブレットを用いたりして地域の環境について調べるものの、問題点は発見できず…。そこで、役場の環境担当の方に来ていただき、中富良野町の現状について聞くことになった。

環境問題について学ぶ児童

ここで、「はじめに」にあったゴミ処理の実態と分別の課題を知ることとなった子どもたち。その課題に立ち向かう担当者の思いも聞き、「中富良野でこんな問題があったなんて!」と、環境問題を身近なものとして捉えだしていった。その後、中富良野町の課題について情報を収集した上で、自分たちにできることを吟味するための話し合いを行った。「自分の住む家の分別ミスを減らす。」など、自分にできそうな取組を考える子。「自分たちが取り組んでもあまり意味はないのでは。」と考える子。ゴミ問題解決に向けた方策が行き詰まってきたところで、「環境問題に立ち向かっている人と会ってみる?」という教師からの声かけを行った。

【第二次】「立ち向かう人々と出会う」

環境問題に立ち向かっている方々と協働授業を行うに当たっては、環境問題に立ち向かうためのヒントをもらうためにワークショップ型の体験授業を行っていくこととした。

まず、出会ったのは北海道内の音楽フェスでゴミ分別ナビゲートを行うなど、環境問題解決に向けて取り組んでいるNPO法人“Ezorock”。団体の代表者が、音楽フェスのゴミに対して問題意識をもったことから活動を初めたこと、活動が崩壊するなど多くの失敗を乗り越えてきた経緯を紹介してもらった上で、「ゴミ分別ナビゲート体験」のワークショップを行った(写真参照)。「あるゴミが自然分解されるまでの年数」を予想しながら活動した子どもたち。製品プラスチックだと、自然分解までに1000年を要することなどを知り、町に埋め立てられているゴミへの問題意識も高めることができた。また、「みんなも、自分たちで団体を作って活動していいんだよ。」という言葉を聞き、「自分たちにも何かできるかもしれない。」と前を向き出す子も見られた。

分別ナビゲートを行う児童

続いて出会ったのは、関東圏内を中心に環境問題に取り組んでいるNPO法人“i-Pledge”。“Ezorock”と同様、音楽フェスにおけるゴミ分別ナビゲートを行いながら、環境に優しい日用品の製作ワークショップも行っている団体である。

ここでは、東京と北海道をオンラインで繋ぎ、繰り返し何度も使うことができる「蜜蝋ラップ」製作体験のワークショップを行った。体験を通して、「楽しみながら環境問題について学ぶ」ことの大切さを学ぶことができた。

蜜蝋ラップ製作に取り組む児童

また、教育支援アプリ「Classcloud」を活用することで、児童の一人一人の振り返りに対して、講師からフィードバックをいただくことができた。手厚いコメントが児童の学びの原動力となっていったと感じている。

以上2つのワークショップには、役場環境担当の方も参加していただいた。町としても、「大人から子どもまでゴミ問題を広く知ってもらうためのカードゲームを開発しようと考えている」とのことだった。そこで、カードゲームの内容を考えるワークショップ型授業も行った。ここでは、役場の方が考えたベースとなるルールが小学生に適切であるかどうかの検証、ゴミ問題解決に向けた取組の中で効果が高いものを考え、得点に軽重をつける学習を行った。

【第三次】「未来に向けて行動する」

多くの方々と出会いながら、「自分たちにできること」を問い続けてきた子どもたち。中富良野町のゴミ問題解決のためにできることを話し合い、学習のゴールを「イベントを企画し、中富良野町民に向けて発信すること」と決定した。対象は、「町民の方々」、「保護者」、「下級生」とし、発信対象に合わせたワークショップ内容を整理、分析した。その結果、以下の6つのワークショップを行うこととなり、グループごとに分かれて準備を進めた。今までに体験したワークショップを生かし、児童が創造的に内容を考えていった。

①プレゼンテーション

「中富良野町民に、ゴミ分別に対する意識を高めてもらう」ことを目的として準備を進めた。重きを置いたのは、中富良野町の埋め立て地の現状やゴミ分別の課題を事実として伝えることである。第一次での環境活動家の方の講演の中で「発信するときに気をつけていることは?」という質問に対し、「事実と判断を分けて伝えること」という言葉をいただいた。

プレゼンテーションで発信した上で、行動を変えてくれるかどうか。それは相手の判断次第である。「しっかり分別しよう」という“判断“をこちらから押しつけるのではなく、今ここにある「ゴミ問題」という”事実”“についてきちんと知ってもらうことができれば、自ずと行動を変えてくれる。役場からもらった組成調査の結果を表に整理したり、第二次までの学びを紹介するスライドを作ったりしながら発進の準備をしてきた。

左上:スライド作成中/右上:埋立地の現状/左下:ゴミ分別の課題/右下:イベント当日の様子

②すごろく

「低学年の児童にも、楽しみながら学んでもらう」をコンセプトとして、すごろく開発を行った。当初はカードゲーム開発だったが、カードのやりとりの煩雑さやルールの即時理解の難しさ等を検討し、最終的に児童が「すごろく」を選択した。役場担当者の方と協働しながら、止まったマスでもらえるカード(得点記載)の作成や、答えてもらうクイズの内容を考えていった。他のグループの児童に遊んでもらって、内容や所要時間を何度も検討しながら作成を進めていった。

左上:マスの内容を考える/右上:遊んで内容を検討する/左下:完成したすごろく/右下:イベント当日の様子

③分別体験クイズ

「楽しみながら、中富良野町の正しいごみ分別を覚えてもらう」をコンセプトとして、準備を進めた。“Ezorock”のゴミ分別ナビゲートをヒントとして、中富良野町の分別に則ったクイズを出すことになった。準備に当たっては、まず、町で分別ミスが多い物を洗い出すところから始めた。役場から組成調査結果の資料をもらい、分別体験クイズに適したごみを選んでいった。イベント当日は来場者にゴミを渡し、「不燃ゴミ」「可燃ゴミ」「プラスチックゴミ」の中から、正しい分別区分を当ててもらうクイズを行った。中富良野町では、液体漂白剤のボトルなどの製品プラスチックは「不燃ゴミ」とされているものが多いが、「プラスチック」と誤答する来場者が少なくなかった。

上:町の分別区分一覧で調べる児童/左下:実際に行って、内容と方法を検討する/右下:イベント当日の様子

④製作体験「環境に優しい洗剤」

「楽しみながら環境負荷について考えてもらう」をコンセプトとして、食器用洗剤の製作体験を行うグループが生まれた。“i-Pledge”の蜜蝋ラップ製作をヒントとして、環境に優しく、かつ低学年から大人まで安全に製作できる日用品を検討した結果、「炭酸ナトリウム」、「クエン酸」。「粗塩」を使ってできる食器用洗剤作りを体験してもらうこととなった。各家庭や教職員の協力に協力を仰ぎ、空きビンを集め、タブレット端末を用いて作成したラベルシールを貼って洗剤を入れる容器とした。

左上:作成した作り方の説明書/右上:試作品の効果を試している児童/左下:ブースの掲示物/右下:イベント当日の様子

⑤シーグラスを使ったアクセサリー

「ゴミを用いたアクセサリーを紹介し、環境問題について知ってもらおう」をコンセプトに、製作したアクセサリーを無料配布するグループができた。シーグラスとは、海のゴミの一種であり、ガラス製品が波に揉まれて角が取れたガラス片のことである。来場した方に、人間が作り出したゴミが海に流れ出ている実態を知ってもらうこと、また、低学年の児童もゴミ問題について関心を高めてくれることを期待して準備を進めてきた。

左上:アクセサリー製作中の児童/右上:作成したアクセサリー(ヘアピン・ストラップ・ネックレス)
左下:展示用に作成した魚の絵/右下:イベント当日の様子

⑥プラスチックを使った小物

「ゴミを用いたアクセサリーを紹介し、環境問題について知ってもらおう」をコンセプトに、プラスチックとマイクロプラスチックを用いた小物を作り、配布するグループも生まれた。マイクロプラスチックとは、微細なプラスチックの総称であり、直径5mm以下のものを指す。近年、マイクロプラスチックによる海洋生態系への影響が懸念されており、人間の出したプラスチックゴミのうち、1/3は海へ流れ出てしまっているという調査結果も、第一次の学習で環境活動家の方から子どもたちは学んでいた。

そこで、マイクロプラスチックとレジン液を用いたヘアゴム、ペットボトルキャップを用いたマグネットを作成し、プラスチックゴミによる環境問題を紹介した上で、作成した物を配布することとなった。

左上:小物製作中の児童/右上:製作したマグネット・ヘアゴム/左下:プラスチックゴミ説明用の掲示/右下:イベント当日の様子

⑦リユースコーナー

6つのワークショップ以外にも、「リユース品を集めて必要な人に持って帰ってもらう」というアイデアも、児童から生まれていた。そこで、「衣服」、「防寒着」、「スキー用品」、「靴」、「文房具」に絞って、児童の家庭、地域のNPO法人“子どもサポート”に協力してもらい、およそ1ヶ月間、リユース品を集めることとなった。イベント当日は、用意したもののうち1/5程度のリユース品を持ち帰っていただくことができた。残ったリユース品は、一定期間“子どもサポート”の施設に置いてもらうこととなっている。

リユースコーナー

<イベント運営・広報に際して>

イベントを行うに当たっては、北海道内企業“メディアネットコーポレーション”(以下“メディアネット”)との協働を行った。“メディアネット”は、北海道内において、道の駅やアウトドアイベントの企画・運営、広告作成を行っている企業である。授業においては、イベント運営の準備を進める手順や、広告作成のポイント等について学ばせていただいた。

参加型イベント「中富小6年生とゴミ問題について学ぼう」2024.2.21(昼休み~5時間目)

イベントは2日間に分けて実施した。
中富良野小2学年児童、4学年児童、保護者、教員、地域住民、NPO法人関係者、企業関係者を合わせて、100名弱に参加いただいた。

授業後に進めた町内に配布するチラシ作成に当たっては、教育支援アプリ「Classcloud」を活用し、“メディアネット”へチラシ作成のアドバイスをいただいた。協働を通して、町内へ配布するチラシを完成させることができた。児童の思いがこもったチラシが作成できたと感じている。

左:チラシ第一弾/右:チラシ最終版

4.実践の成果

中富良野小学校は、「社会課題解決プログラム」2年目として実践を行わせていただいた。今年度も、多くの団体との協働を通して、成果を得られたと感じている。

①「社会課題を自分事として捉えることができた」

自分たちが生まれ育った中富良野町にあった「ゴミ問題」という社会課題が、児童の生活と結びつく課題であったこと、また、地域としても喫緊の課題であったことから、児童にとって必要感のある学びの場が生まれていった。それに加え、役場担当者の方に来ていただき、町の実態とそれに対する思いを聞かせていただいたことで、ゴミ問題を自分事として捉えることができた。

②「NPO法人との協働による学びの深まり」

「ゴミ問題」という町の課題とマッチするNPO法人に協働してもらえたことが、児童の主体性を育み、深い学びへと繋がっていったと考える。その道のプロの言葉、ワークショップ型の体験授業がヒントとなり、創造的な活動へと繋げることもできた。

③「協働の持続による学びの深化」

教育支援アプリ「Classcloud」の活用により、協働授業後もNPO法人、企業とのつながりを持続することができた。児童の質問に答えていただいたり、送ったデータにアドバイスをいただいたりすることで児童の学びがより深まっていったといえる。この点については、北海道としても価値のある自薦となったと考える。全国に比べてへき地校の割合が高く、都市部を除いては、なかなか地域課題にマッチする団体と繋がることが難しい地域事情がある北海道。ICTの活用により、団体との協働を持続していくことで児童に創造的な学びの場が保証され、ひいては、地域課題の解決にも繋がっていくと考えている。

【出典】学校基本調査2021

④「創造性の育成」

第三次の中間、終末において、「創造性」に関するアンケートを実施した。「NPO、企業との協働を生かして、ワークショップを創造的に考えることができていますか。(終末では、「できましたか。」の結び)」という設問に対して、右のような結果が見られた。活動内容を決めて、準備を進めている段階では試行錯誤しながら話し合いが停滞している様子も見られたものの、失敗も重ねる中で最後には、自信をもって「できた」と回答している児童が増えたことが分かる。

イベント終了後の児童のふり返りと来場者の感想も、一部抜粋して紹介する。

<6年生児童>

  • 「自分たちにできることなんてあるのかな」と思っていたけど、分別ナビゲートを体験したことで、「中富良野バージョンにしたら面白い」と思った。クイズに参加してくれた人の中で、1人でもゴミをちゃんと分別しようと思ってくれたら嬉しい。前よりも、計画に沿って作業を進めることができるようになったと思う。
  • はじめはうまくいかないことが多くて失敗ばかりだった。でも、低学年でも楽しみながらできる方法をいろいろ試していって洗剤作りにたどり着けたし、お客さんがたくさん来たときのことを考えて練習していてよかった。ゴミとは直接結びつかなかったかもしれないけど、環境を守ろうと思ったらゴミの分別も考えてくれるんじゃないかと思った。
  • 海の中のマイクロプラスチックの問題を知ったときに、すごく大変な問題だと思った。もらってくれるようにできるだけデザインにこだわったつもり。イベントで渡したヘアゴムを見たときに、ゴミ問題のことを思い出してくれたらいいなという気持ちで作るのを頑張ってきた。来てくれた人が「すごいね!」とか「つけて使うね。」と言ってくれてよかった。

<来場者>

  • ゴミの分別があまりわかっていなかったけど、ゴミの分別クイズですごくわかりました!洗剤を作るのもすごく楽しかったです!この材料で作れるんだといろんなことがわかりました。すごろくは、問題が最後の方にあってその問題ですごく勉強になりました。自分たちが使わなくなったものを他に人たちに使ってもらうのがいい事なのがわかりました。(4年生)
  • 海のゴミのシーグラスでアクセサリーなどを作ることによって、海も綺麗になるしアクセサリーも綺麗だったのでとてもいいと思います。洗剤を作るのも楽しかったし、環境にやさしい洗剤なのでとてもいいと思いました。私達もこういうイベントをやってみたいです! (4年生)
  • 6年生の発表すばらしかったです。アクセサリーが素敵すぎて、選ぶのに時間をかけすぎてしまいました。この参観をきっかけに、ゴミ問題やエコについて関心をもって生活していきたいと思います。(大人)
  • 大人にとっても勉強になりました。今日の参観日は、素晴らしい取組を見ることができて、今後も小学校として、このような活動は継続しても良いのではないかと思いました。ゴミ分別は大事ですね。気をつけます・・・。(大人)

5.終わりに

総合的な学習の時間における単元のゴールは、学びを整理・分析する過程を経て、ゴールが1つの活動に集約されていくことも多い。「プレゼン発表」、「動画作成」、「商品開発」などがそれに当たる。

それに対して、本実践では、内容が異なる6つのワークショップを準備してきた。また、発信する対象も低学年児童から大人まで広がった。そのため、1つ1つのグループに対して、教師がサポートをすることや丁寧にフィードバックをしていくことが難しい側面があった。

ただ、その課題面をクリアするために、学年団で連携をすることはもちろん、役場担当者の方に毎週授業に来ていただいたり、団体さんと繋がり続けたりする協働体制を作ってきた。多くの方々のおかげで、課題面を一定程度クリアし、教師だけでは生み出せない学びの場を児童に提供することができたと感じている。

今後も、地域の実態をもとに、自治体、NPO法人、企業などとの協働を生かすことで、多くの人が児童のために関わることができる学校を目指していきたいと考えている。

「協働」を生かして、「創造性」を育むという実践レポートを紹介させていただいた。読んでいただいた方に、何か1つでも参考になる点があれば幸いである。

藤井 泰行

プロフィール

北海道公立学校教諭。教職10年目。現任校にて、町や地域人材と協働して行う授業づくりを進める中で、これからの総合的な学習の時間の可能性を実感する。