ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
目標に向かって前向きにチャレンジする姿勢を育てる
   6/8 前へ次へ


 松蔭中学校・高校は、明治以来の伝統を誇る中高一貫の女子校である。開学以来、キリスト教の精神に基づいた、個を尊重する教育を大切にしている同校では、6年間という長い時間をかけて、生徒一人ひとりの人柄や個性に合った指導を行っている。それだけに、学校と生徒との絆は強く、高校を卒業した後も学校を訪れる生徒が少なくない。また、系列の大学・短大に約半数の生徒が特別推薦で内部進学しているのも、卒業生と「松蔭」とのつながりを濃いものにしている。
 しかし、それだけに特別推薦の合格が決定する3年次の秋以降、他大学への推薦合格者を含め、一部の生徒が目的意識を持ちづらくなっていた。そして、このモチベーションの低下は、授業への集中力の低下や出席率の悪化となって表面化していた。「高3の後半をいかに活性化するか」が、高3学年団における課題となっていたのである。当時の状況を川崎紘平校長は次のように語る。
 「以前から、高3の3学期の指導には工夫の余地があると考えていました。しかし実際は、教科の指導が2週間くらいしかないにもかかわらず、それで3学期の成績を付けるという状況でした。だから、残り少ない高校生活を有意義に過ごせるよう、6年間の最後にふさわしい企画を提供し、生徒の自主的な活動を手助けしようということになったのです」
 こうした背景の下、高3の3学期を活性化させる取り組みとして導入されたのが、00年度から実施されている「チャレンジプログラム」である。高3の進路決定者を対象に、3学期の授業が終了する1月中旬以降、1か月に渡って様々な企画が実施される。
 進路指導部長の谷口理先生は、同プログラムの意義を次のように語る。
 「進路指導は、大学に合格させればそれで終わりというものではなく、目標の模索、実現がいかに大切なことかを教える『生き方指導』でもあるべきだと思っています。進学はあくまで人生の通過点にしかすぎません。大切なことは、常に前向きに人生の目標を模索し、あらゆることにエネルギッシュにチャレンジしていく姿勢を身に付けさせることで、チャレンジプログラムはそのために企画されました。本校では、01年度に本格的に高校3年間の進路指導を体系化、それを推進してきましたが、同プログラムは高校最後の進路イベントとして位置付けています(図1)」
図1
トップへもどる
目次へもどる
 
このページの先頭へもどる
   6/8 前へ次へ
 
このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.