ベネッセ教育総合研究所
特集 自学自習力の育成
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1年次は生活指導により指導の土台を確立
 同校の取り組みにおいて特徴的なのは、何よりもまず、3年間に渡るモチベーション喚起の方法が、生徒の発達段階に応じた動機づけ手法で組み立てられていることだ。すなわち、1年次は生活指導や課題提出といった取り組みを重視し、進路学習や「総合的な学習の時間」による動機づけは、指導の土台が確立した後の2、3年次に集中的に実施しているのである。
 「本校に入学してくる生徒の多くは、中学校時代にトップ層にいた生徒ではありません。ですから、学習習慣や生活習慣が確立していない生徒も少なくありません。この状態でいくら進路学習などの動機づけを行っても響きませんから、生活習慣の確立、課題をきちんと提出させるといった部分から、まず、学校の指導を受け止められる姿勢をつくっていくのです。教師言葉で言う、『指導から援助への転換』は2年次に行っています」(森本先生)
 こうしたビジョンに従い、1年次は生活指導を中心としたアプローチが取られている。2学年進路担当の四倉俊昭先生は、その意義を次のように語る。
 「1年次の指導は、その後の学校生活の型をつくることでもあります。ですから、何か問題がある生徒については、問題の芽が大きくならないうちにフォローしておくことが大切です。3回遅刻したらすぐに指導を入れる、週末課題を提出し忘れた生徒がいたら、放課後に居残り学習をさせてでも提出させる、といった指導を徹底しています。随時指導が入ることに対しては管理の行き過ぎと思われる方もいるかも知れませんが、こまめに指導が入るからこそ、教師の指導を素直に受け入れる姿勢が生徒の中に醸成されていくのです」
 このような指導を、同校の教師たちは「生徒の顔を学校に向ける指導」と呼んでいる。まずは学校ベースの生活習慣・学習習慣の確立こそが、「自律的な学習力」の育成に向けたスタート地点であると捉えているのだ。


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