| 立教大学 |
| Betweenは（株）進研アドが発刊する情報誌です。 |
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| 4年間かけて履修し低学年から専門にも触れる |
全カリはセメスター制を取り、総合教育科目と言語教育科目で構成。総合教育科目は総合A群、総合B群、情報、スポーツ実習の4群に分け、それぞれ複数の専門領域にまたがるような科目内容となっている。総合A群は約150科目から成り、「思想・文化」「歴史・社会」「芸術・文学」「環境・人間」「生命・物質・宇宙」「数理」の六つのカテゴリーに分けられている。01年度からは、新たに立教大学と関わりの深いテーマを探求する「立教科目（R科目）」、時事的なテーマをとりあげる「時事科目（T科目）」、留学生と日本人学生が共に学ぶ「英語による日本研究科目（F科目）」も加わった。
これらの科目については、時流や学生ニーズなどを考慮して、2、3年という短いサイクルで見直しを図っていく方針だ。
総合B群では、多分野にまたがるテーマを異分野の複数の教員が共同で担当するという、より学際的なアプローチになっている。毎年、約20科目が開講されるが、学生の人気が高く希望者をすべて受け入れられないため、今では1学期に一人1科目しか受講できないよう制限しているという。前述した「自己理解・他者理解」や「仕事と人生」も総合B群に属している。
言語教育科目、特に英語は、国際化社会に対応する人材育成という意味で、全カリの中核に位置づけられている。入学前にプレイスメントテストを実施し、習熟度別にクラスを編成、1年次には週4日の集中的な授業が展開される。異文化理解に必要なアイデンティティ等に関する理解を深める英語科目も設定され、実践的な語学力を徹底して身に付けさせる。
同大学の総コマ数のうち全カリ科目は4割近く、卒業要件単位のなかでも3割と大きなウエートを占めている。しかし、卒業要件単位としては、1学期に8単位までしか修得を認めないことで、あえて4年間にわたって履修するシステムにしている。幅広く学ぶ教養科目と深く掘り下げる専門科目を併行して学ぶことによって、視野が広がるなどの効果を期待しているからだ。このことは、結果として低年次教育にも変化をもたらしたという。
「教養教育が4年次にまで広がったことで、各学部は1、2年次でも専門科目を積極的に展開できるようになりました。今後は専門と関連した科目の履修をさらに推奨し、専門教育への橋渡しとして生かしたらどうか、という議論も出ています」（庄司部長）。教養教育と専門教育をつなぐ1本の道筋が整備されてきたというわけだ。これは、低年次の学生のモチベーション向上にもつながる動きだ。
すでに、全カリに対して学生から一定の評価は得られている。同大学が00年に実施した調査では、カリキュラムの総合性を評価する学生が導入前の41.5％から56.3％に、言語教育（英語）の充実度を評価する学生が22.6％から51.5％になった。さらに、卒業要件を上回る超過修得単位数も、学生一人当たり平均7単位になっている（02年度）。
全カリでは専門科目と密接に連動させてカリキュラムを組んでいるため、低年次の履修計画が非常に重要になる。そのための支援として、学部ごとに行う全カリ・専門教育のガイダンスでは、各学部のばらつきが出ないように、センターがガイダンス担当教員のためのガイダンスを開催したり、年度はじめの履修申請期間には、全学部の担当教員が共同で履修相談に応じている。
同大学では、全カリを完成したものだとは考えていない。学生にとってより効果的なシステムとなるよう、常にイノベーションを繰り返していくという。低年次の学生支援という観点からも、さらなる進化を期待したい。 |
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