| 湘南工科大学 |
| Betweenは（株）進研アドが発刊する情報誌です。 |
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| 学生の顔つきが変わり学科全体の活気に貢献 |
鯉渕学科長が担当するTPLは、市販の自動車キットを組み立てることから始まる。次に、3D-CADのソフトで部品の設計図を描き、さらに有限要素法のソフトを使ってその部品の応力（物体が荷重を受けたときの抵抗力）計算を行うところまでいく。ここで注目すべきは、ソフトの使い方はもちろん設計の基礎も応力計算の方法も一切教えられていない段階で、マニュアルを参考に自主的に学生がそこまで到達することだ。「先生も知らない、他のグループの皆も知らないことを、自分たちだけで見つけていく喜びがあります」と、TPLリーダーで3年生の柴田展明さんは語る。現在はミニカーに計測器を取り付け、走行実験を行い、実際の応力のかかり方を検証している。
「自分たちの力だけで結果が出ると、学生たちの顔が変わってきます。実物に触れているので、講義の理解度も高まってきますし、何より学科全体に活気が出てきました」と、鯉渕学科長も成果の大きさに驚く。
しかも、TPLが行われる場所は、校舎の4階フロアをすべて使ったオープンスペース。簡単な間仕切りがあるだけで、他のチームが行っていることもよく見える。ワイワイガヤガヤやるうちに、他のTPLの学生や教員とも親しくなり、モノづくりを通したコミュニケーションをいっそう深める仕掛けといえる。
問題もある。TPLは教え方に工夫が要求されるため、教員にとって大きな負担になることだ。だが鯉渕学科長は、「それだけに教員の資質と能力が問われます」と歓迎する。また、学生の希望が偏り、TPLの課題が社会のニーズとの整合性を欠く可能性も指摘されている。この点は、学生の就職意識を高めることでニーズとのずれを少なくしていくという。 |
| 体験科目を全学的に導入し外部の人材も活用 |
システムコミュニケーション工学科のTPLが大きな教育効果をあげていることから、他の学科でも、体験を重視した実習・実験を1年次の授業として取り入れた。
マテリアル工学科では、01年度から「マテリアル工学体験実習」を実施。鉄の酸化熱を利用する使い捨てカイロを作ったり、ブラックライトを使って蛍光の原理を探るなど、年間12テーマ用意されている。学生は、CCを単位として1テーマを2週間程度でローテーションする。同学科の木枝暢夫教授は「実習での印象が授業への関心を高め、2年次のコース選択で自分の興味が絞られるようです」と評価する。
機械デザイン工学科でも、03年度から「造形デザイン実習」を導入した。鉛筆をカッターナイフで削り、ボール紙で立体模型をつくり、3D-CADで設計図を引く。
こうした体験型の授業の導入や、リメディアル教育によって、AO入試での入学者の学科・学力不適合による退学者は、01年度の18人から02年度には6人と大きく減った。
同大学が目指す「逆転のカリキュラム」が今後も成功し続けるためには、学生がそれぞれ最も興味を持つ分野の最先端に触れることが不可欠だ。そのため現場の技術者を非常勤講師として招聘した。地元の技術系ベンチャー企業の経営者や、アニメーション作家などが、実習授業やCCでの演習を担当している。「これまでの産学交流は研究が中心でしたが、本学ではこれを教育交流と位置づけ、生きた教育を実施します」と松本学部長は抱負を語る。
このほか、学生の授業評価の結果を教員のボーナスに反映させるなど、教育力強化に向けた思い切った人事施策も、04年度実施に向けて検討されている。 |
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