特集 就職指導最前線
桃山学院大学
Betweenは(株)進研アドが発刊する情報誌です。
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Report-3
学生一人ごとに担当職員がきめ細かく指導
人間的成長も見守る
桃山学院大学就職課では、「担当制」を導入し、就職を希望する学生に対して担当職員が個別面談や履歴書・エントリーシートの添削などを行っている。頻繁に相談に訪れる学生ほど内定が早いという傾向もあり、個別指導は着実に効果を挙げている。
早い時期からの個別対応で信頼関係を築く
 担当制は、20年ほど前から導入された。就職課ではそれ以前から個人面談を主とした支援を行ってきた。「担当する職員を決めた方が、学生に合った指導をより細かくでき、学生も相談しやすくなるのではという意図から導入しました」と、就職課の前田俊郎課長補佐は説明する。
 7人の職員が担当する学生数は4年生だけで一人当たり200〜230人。3年生と重なる時期は300人を超す。
 近畿圏以外の地方出身学生の場合は、その地域担当の職員が担当者になるが、近畿圏出身の学生はランダムに割り振られ、学生に不公平感を与えないようにしている。面談内容は学生ごとの登録カードに詳しく記載し情報を共有。内容によっては、職員同士で相談し合ってから対応する。また業界ごとの勉強会を行いスキルアップも図っている。
 就職支援プログラムは、例年10月に行う3年生対象の「第1回就職ガイダンス」が本格的なスタートとなる。1回100人を定員として1日3会場で数日にわたって行い、その年度の就職状況や自己分析について説明する。その後、11〜12月にかけて「第2回就職ガイダンス」を行う。ここでは5人のグループごとに職員1人が、学生の自己紹介、希望する進路を聞いた上で、履歴書やエントリーシートの書き方や資料請求の仕方などを具体的に指導する。このガイダンスでの指導職員が学生の担当者となる。早い時期から少人数での指導を行うことは、遠慮なく相談に来られる雰囲気づくりにもなるという。
 その後は就職先を決定するまで担当者が個別面談を重ねていく。
 履歴書やエントリーシートの添削を繰り返すうちに、書くことが苦手な学生でも見違えるほどしっかりした内容のものが書けるようになるという。また、個人面談の繰り返しは面接の予行演習にもなる。「学生は同世代の仲間同士のコミュニケーションには熱心ですが、年長者と話す経験に乏しい。担当職員である大人と何度も話し合うことは、企業訪問や面接の際に役立ちます」(前田課長補佐)。
 就職活動の途中で報告が途絶えた学生に対しては、担当職員が定期的に電話やハガキで声をかけ続ける。「こちらからフォローすることで再び前向きに活動する学生もいます。また、ハガキは父母にも見てもらえるので効果的です」(前田課長補佐)。
 就職課では学生の自己分析も重視している。独自に作製した冊子「自己分析ワークシート」を夏休み前に就職希望の3年生に配布し、10月の最初のガイダンス後にワークシートをもとに個別面談を実施する。「将来、どの方向に進むにしても自己分析は大切です。早くから取り組んでおけば、志望する業界や職種決定にも役立つし、就職活動もスムーズにスタートできます」(福島太郎課長)。
 学生と担当との初顔合わせのガイダンスで基礎資料として活用することと、約2カ月の夏休みの有効活用という狙いもあるが、記入率はいまひとつだという。記入率を上げるために、例年11月に開催する「自己分析セミナー」を夏休み中に行い、自己分析の重要性をより早い時期に認識させることも検討している。
就職活動を楽しむための支援を
 担当制の効果について、「足繁く相談に来る熱心な学生は就職も早く決まるという傾向があります」と前田課長補佐は感じている。「内定を得ることで明らかに顔つきが変わります。就職活動は、人間としての成長を促す機会でもある」。
 3・4年生の就職活動が重複する時期は、1人の担当職員が受け持つ学生の数が300人前後となり負担も増える。この課題に対しては、「効率化すればいいというものではなく、今後も個別面談重視が基本」(福島課長)としている。今後は、学生一人ひとりが就職活動を楽しめるような支援を目指す。
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