ベネッセ教育総合研究所
教育力の時代
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実務家教員のパイプ生かし、企業、行政と研究で連携

 環境に対するこうした高い問題意識を土台に、環境情報学科の3年次以降のカリキュラムでは演習や研究などが展開される。今年度から、新たに設けられた3年次の科目「環境情報フィールド演習」では、「身近な環境デザイン」「省エネ電力の計測」など六つのテーマについてそれぞれ専門の教員が担当し、五感を使って光、熱、音、空気(風・におい)が場所によってどう違うかを測定したり、都市河川の水質や微生物の調査などを行う。
 また、3年次には全学生が研究室に配属され、卒業研究につながるゼミ形式の事例研究も始まる。ここでは、企業や自治体などと連携した地域密着型の研究が数多く行われている。横浜市や地域のNGOと合同での公園の人工水辺調査や改善策の実践、行政の委託を受けての都筑区グリーンベルトの生態調査、東急グループとの連携による渋谷の街づくりの企画提案などがその例だ。
 卒業研究の成果を地域の取り組みにも役立ててもらおうと、フィードバックもしている。横浜市や都筑区、港北ニュータウンといった近隣地域を対象にした調査研究では、行政関係者を招いて発表会を開催。市の土木建築課の職員など実際に環境業務に携わる「プロ」からは、鋭い質問や指摘も投げかけられる。それが、学生の研究意欲を高めるうえでもいい刺激になっているという。昨年度は行政、NGOの関係者など50人が集まり、「都筑区の都市域における二次林や都市公園の管理」「緑地景観の特性から見た緑地分析」「バス時刻表のユニバーサルデザインに関する研究」など13件の調査研究の成果が披露され、高い評価を受けている。
 増井教授は、一連の教育についてこう話す。「EMSの運用を生かし、環境についての正課教育に加えて、環境の中での地域密着型教育、環境のための実践的教育の3要素を重視しています。こうした教育を通じて、環境の専門知識・技術だけでなく、問題の発見や評価、プレゼンテーション力も養成し、実社会に通用する人材を育てていくのが目標です」。
 現在、オーストラリアや中国など海外の大学と、インターネットを使って研究成果や授業の配信を行うといったサイバーキャンパス構想も動き出している。同学部の教育の場は、今後ますます広がっていきそうだ。


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