ベネッセ教育総合研究所
教育力の時代
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緑地保全や省資源化など学生自らが地域で実践

 一方で、エコキャンパスとして設計された横浜キャンパスは、それ自体が学びの場にもなっている。建物には、冷房効率を高め、直射日光を遮るためのひさしがつけられ、雨水をためて樹木への散水に利用するための遊水池も設置されている。敷地内には、横浜市のグリーンベルトに組み込まれている保全林もあり、地域住民の散策の場にもなっている。こうした環境と大学ぐるみのEMS活動が相まって、同学部では自主的に環境活動を展開する学生も少なくない。
 EMSの活動では、教員による環境教育、省エネルギー、省資源、環境管理の四つの運営部会が設置されている。これにボランティアで参画しているのが、ISO学生委員会だ。50人ほどの学生が所属し、各部会に入って教員とともに問題点を議論するほか、審査機関が開いている環境審査員コースを受講し、学内の内部監査に自主的に参加する学生もいるという。
 学生委員会は、毎年秋に学内外に向けて開催しているISOフォーラムにも企画から参加し、4部会の活動成果の報告から外部講師を招いての講演会、パネルディスカッションなどを行っている。入学式後のオリエンテーションで、新入生を対象に、キャンパスの特徴と環境を維持・保護するための大学生活の環境ルールを上級生が説明する「エコ・キャンパスツアー」も毎年恒例だ。最近では、ISO14001の認証取得を目指す他大学にレクチャーに赴くなど、学外にも活動の場が広がっている。
 環境問題に取り組む学生サークルも多い。そのうちの一つ「エコワークス」では、キャンパスの周辺が新興住宅地であると同時に里山環境も残っていることを生かして、竹林の管理を兼ねて年1回、地域住民にも呼びかけて筍掘りを企画。今年は、学外から500人の参加者が集まったという。
 学園祭では、学生の発案で使い捨て容器を使わずに学生食堂の食器を1個50円で借り、返却時に現金を返してもらうデポジット制度を導入。この制度は他大学にも広まっている。同学部では、これらの活動をISO14001の要求する「環境に有益な活動」と位置付け、環境を専門とする教員を顧問にすることで課外の実践教育の場としている。


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