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設置審議会のメンバーに業界人の参加を
――大学院の設置にあたり、どのような点で苦労しましたか。
藤本 設置審議会の構想審査と教員審査ですね。構想審査というのは、どういう人材を育てたいのかを見るものです。われわれは「One Source, Multi Use」をキーワードに、一つのコンテンツを映画や携帯電話、パソコンなどに展開させていけるようなプロデューサーやディレクターの育成を目標としていますが、それがなかなか伝わらず、その説明のために何度も足を運ぶことになりました。
日本で初めての分野ということもありますが、設置審のメンバーは、長い間大学の中にいた教員の方々なので、企業で育ったわれわれとのコミュニケーションが難しかったのだろうと思います。
――教員審査では、どんな点が問題だったのですか。
藤本 教員の実績をなかなか評価してもらえなかったことです。例えば日本トップの業績をもつネット広告代理店の幹部が、どれだけ知識とスキルをもっているかということがなかなか理解してもらえませんでした。教員調書を何度も書き直し、なぜすごいのかというところから説明しなければなりませんでした。
――設置審に対して、何か具体的な要望はありますか。
藤本 以前からずっと言い続けてきたことですが、設置審議会のメンバーに業界の人を加えてほしいということです。特に専門職大学院の場合は、ある特定の職業のための専門的なトレーニングをすることが目的です。そのトレーニング方法が適切かどうかは、その学生を受け入れる産業界の人間の方がずっとよく理解できるはずです。教員についても、同じ業界の人ですから、業績もたちどころに評価できます。
――そうした要望は、文部科学省に伝わっているのでしょうか。
藤本 われわれの意見の影響かどうかはわかりませんが、今年の設置審から「参考人制度」が導入されることになりました。審議会のメンバーを入れ替えるのは難しいようですが、審議会のメンバーがよく理解できない場合は、設置申請した大学が希望する参考人のリストを提出できるようになりました。
――株式会社立の大学と、従来の学校法人が設立する大学では、教育の中身はどのように違うのでしょうか。
藤本 結論からいえば、設置母体が株式会社だからといって、大きな違いはないと思います。経営姿勢が悪ければ、どっちも倒産するわけですから。ただ、われわれのような株式会社立の大学は、政府の補助金もありませんし、学生の納付金が収入の100%ですから、同じ大学を経営する場合でも、お客様である学生のニーズがすべてに優先します。株式会社の存在意義は、まさにそこにあります。学生を第一に考えた教育を行う限り、学生は来てくれるはずですし、その意味で倒産しにくい大学だといえると思います。
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