ベネッセ教育総合研究所
特集 高等教育分野への新規参入者たち
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教員評価をしないと出席にならない

――具体的には、どんなところに学生を第一に考える姿勢が反映されているのですか。
藤本 例えば、すべての授業で教員評価を実施しています。授業評価を行っている大学は多数ありますが、本学の場合、ネット上で教員評価のアンケートに記入しなければ出席にはなりません。「エバリュエーションシート」と呼ばれ、授業の進め方や講義内容など、いくつかの観点から教員を5段階評価し、コメントを記入するものです。
 これをすべての授業で実施して、その結果をグラフ化し、スタッフおよび教員全員が見ることができるようになっています。評価の高い教員の授業を見て、自分の授業に参考にできるわけです。現在のところ、最も低い教員で3.79、平均では4.1ですから、全体的な評価は高い方だといえるでしょう。
 また、本学では「CLO=Chief Learning Officer」(教育手法に関する最高責任者)を設置して、評価の低い教員に対しては、改善案を提示することになっています。実際に学生の評価は上がってきていますから、効果は大きいと思います。

――教員の教育力を高めるという意味では、既存の大学のFD活動に通じるところがありますね。
藤本 そうです。このほか、教員研修制度も整える予定です。その際には、賞をたくさん設けようと思います。
 例えば、評価の得点が高い、学生の出席率が高いなどのオーソドックスな賞のほかに、ゴルフコンペのように、前期と後期を比べて評価が安定していれば小波賞、後期の方が高くなっていれば大波賞という具合に、多くの賞を設定して、教員のモチベーションを高めるきっかけにすることも考えています。
科目ごとに設定されるメーリングリスト

――学習に対するフォローという点では、どんな工夫をされていますか。
藤本 学生のほとんどは社会人で、仕事などで忙しい人が多いため、効率よく学ぶ方法を修得しておく必要があります。そこで、「アクティブラーニング(学ぶ技術)」という科目を設定し、必修科目として毎月1回の受講を義務づけています。全科目のベースを支えるものなので、全体のカリキュラムをこなしていく上での基礎力強化に役立っています。

――社会人学生はスケジュールがそれぞれバラバラなので、学生同士のコミュニケーションに特別の配慮が必要になりますね。
藤本 クラス単位でまとまるのはなかなか難しいので、授業科目ごとにメーリングリストを作って、コミュニケーションを活発にする環境を整えています。授業に対する質疑応答はもちろんですが、自発的な勉強会やプレゼン大会の開催を呼びかけたり、その情報交換を行ったりと、盛んに利用されているようです。
 また、スタッフにも多くのメールが来ます。細かな要求や要望が大半で、そうしたメールには、ほぼその日のうちにレスポンスを返すようにしています。社会人は企業のお客様に対する姿勢を熟知しており、ここでは自分が客であるという意識が高いため、迅速に対応する必要があるのです。

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