ベネッセ教育総合研究所
特集 高等教育分野への新規参入者たち
檜木俊秀
内閣官房構造改革特区推進室参事官
檜木俊秀
構造改革特区推進本部
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【インタビュー】
教育特区の試みを大学改革の起爆剤に
 専修学校を持つ学校法人や株式会社が大学を設置する例が相次いでいるが、その背景には、政府が推進する構造改革による規制緩和がある。特に教育特区では、大学設置の条件が緩和され、新しい大学の設置が目立つ。内閣官房構造改革特区推進室の檜木俊秀参事官に、教育特区の狙いや、新規参入の大学が既存の大学に及ぼす影響などについて聞いた。
誰でも提案できる規制改革のアイデア

――構造改革特区は、そもそもどんな狙いでスタートしたのでしょうか。
檜木 二つの考え方に基づいています。一つは、規制改革を進めていくためのツールだという考え方です。全国的な規模で一気に規制緩和を行おうとすると、その影響などいろいろと難しい問題があります。そこで、まずは特区を設定して規制を緩和してみて、問題がなければ全国的に展開する方針を立てました。
 もう一つは、規制のあり方自体を見直そうという考え方です。これまでの規制は全国一律になりがちでしたが、地域の特性に応じた規制のあり方も考えるべきではないかということです。例えば教育の分野では、全国一律に適用される学習指導要領も地域に応じたものがあってもいい、地域の実情への配慮があってもいいのではないかということです。

――特区による規制改革はどんな仕組みになっているのですか。
檜木 大きく2段階に分かれています。第1段階は、特区の提案です。こういう規制を改革してほしいという要望を内閣官房構造改革特区推進室に提出する段階です。よく勘違いされるのですが、この提案は誰でも出すことができます。教育分野であれば、自治体や学校法人、民間企業、NPOなどの団体はもちろん、教員、児童・生徒・学生の保護者など、個人でも出せます。
 その提案を特区推進室が取りまとめ、文部科学省など関係省庁と協議して規制の特例措置を認定するわけです。その協議の内容はホームページ上でだれでも見ることができますし、各省庁の回答に対して意見を出すこともできます。こうして特区で適用される規制改革のメニューができあがるまでが第1段階です。
 第2段階は、特区計画の申請と認定です。自治体は必要な規制改革をそのメニューから選んで、特区計画を作成するわけです。特区計画の申請は自治体のみが行えるため、個人や民間企業などが特区の規制緩和を受けたい場合は、自治体に特区計画の申請を提案する形になります。

――規制を緩和してほしければ、第1段階の特区の提案をすればいいということでしょうか。
檜木 その通りです。特区計画は自治体の申請ですが、特区の規制緩和のメニューはどの自治体も利用できます。提案した自治体でなくても、提案者がいる自治体でなくてもいいのです。ですから、希望する規制緩和がメニューになければ構造改革特区推進室に提案を行い、すでにメニューにあれば、それを利用した特区計画を自治体に働きかけるということになります。



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