ベネッセ教育総合研究所
特集 高等教育分野への新規参入者たち
PAGE 12/22 前ページ次ページ


【レポート1 LEC東京リーガルマインド大学】
資格取得教育のノウハウを大学教育に取り込む
 構造改革特区制度を受けて、日本初の株式会社の大学として設立されたLEC東京リーガルマインド大学は、補講システムや学習のバックアップ制度など、資格予備校の教育手法を大学教育に持ち込んだ。保護者との連携、人材活用などでも従来の大学にはあまり見られない工夫をしている。
ダブルスクール学生や社会人学生の支援を狙う

 LEC東京リーガルマインドは、司法試験や公認会計士などの難関国家資格を中心に、43もの資格試験に対応した総合予備校として25年の歴史を持つ。通信講座を含め、現在の受講者は約18万人。民間の教育機関として十分な実績をあげているLECが、なぜ大学教育に乗り出すことになったのか。
 LEC東京リーガルマインド大学学生課の白石尚嗣課長は、「資格スクールの経営上、二つの課題があった」と振り返る。
 一つは、いわゆるダブルスクール学生の負担軽減だ。LECには年間約6万人のダブルスクール学生がいるが、経済の低迷が長引く中、大学とのかけもちは、時間的・費用的にも負担が大きい。「受講生からは、LECの講座が自分の大学の単位になればいいのにという声は多数寄せられていた」(白石課長)。しかし、大学との単位互換はそれほど簡単ではなく、実現は難しいという状況があった。
 もう一つは、社会人の資格取得に対する支援の必要性である。現在、通信講座も含めて年間約10万人の社会人が受講しているが、難関資格を目指して長期間勉強しても、合格しなければそれまでの努力はまったく評価されない。そこで、勉強したという実績についての証が欲しいとの要望が高まっていたのだという。
 これらの解決方法を模索していたところに、株式会社の大学設置を可能にする構造改革特区制度が登場。大学という形をとれば、資格と学位の両方の取得も可能で、他大学との単位互換も進めやすい。社会人は科目等履修生として受講すれば、大学の単位という形で勉強した実績を証明できる。「最初から大学ありきだったのではなく、最終的な結論として、大学という形がふさわしいと判断したのです」と説明する。

就職を出口とするキャリア開発学を開設

 LEC東京リーガルマインド大学に設置されているのは、総合キャリア学部総合キャリア学科。自分の目指す職業に100%確実に就くということを大学の目標として掲げた点が最大の特色だ。カリキュラムは、キャリア開発基礎科目と専門科目に分かれる。キャリア開発基礎科目は、1〜2年次で、コミュニケーションおよびプレゼンテーション能力を高める科目、ビジネスマナーを養う科目などを学び、3年次でインターンシップが課される。専門科目は、目指す職業に応じて、「法曹」「司法書士」「公認会計士」「ビジネスパーソン」など10の養成プログラムを用意している。
 設置認可に当たって、「キャリア学とは何かという定義づけが問題になった」と白石課長。キャリア学は従来にない学問のため、座学だけではない職業教育としての体系を、文部科学省との協議の中で明確にする必要があったという。

写真

プレゼンテーション授業の様子


PAGE 12/22 前ページ次ページ
トップへもどる
目次へもどる
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse