ベネッセ教育総合研究所
特集 高等教育分野への新規参入者たち
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学生一人あたり経常費が減少

 公立大学の財政については、年度ごとに公立大学協会が調査している。最新の03年度版を見ると、公立大学の財政状況が千差万別であることがわかる。設置学部による違いはもちろん、設置者の規模や財政力と関わり、国公私立全体で見ても特異な財政構造になっている大学もある。
 図表7では、98年度から03年度までの経常費に占める人件費の割合と、学生一人あたりの経常費について公立大学全体の平均値を示した。
図表7 公立大学の経常費に占める人件費の割合と学生1人あたり経常費

図表

 前者は、附属病院関係経費を除外して算出している。経常費に占める人件費の割合は、65〜66%台で推移。03年度は、この割合が80%を超える大学が5校あった。一方、学生一人あたりの経常費は4年連続で減っている。地方財政が悪化する中、公立大学の予算が抑えられ、学生サービスを充実させることが難しい状況がうかがえる。
 以下では、この公立大学協会の調査結果の03年度分を見ていく。設置者の予算に占める大学予算の割合は、0.0〜0.5%に収まるところがほとんど。
 大学予算額は、学部の数が公立最多で附属病院も抱える大阪市立大学が263億1000万円と最も大きく、市予算の1.5%を占める。続いて大阪府立大学(170億6000万円、0.5%)、横浜市立大学(169億4000万円、0.6%)で、100億円を超えるのは名古屋市立大学、東京都立大学と合わせ5大学となっている。一方予算額が10億円以下の大学は10あり、山梨県立看護大学(5億4000万円、0.1%)、沖縄県立看護大学(8億4000万円、0.1%)など看護系の大学が目立つ。
 公立大学の運営は主に、学生納付金を中心とする自主財源と、設置者である自治体からの支出によって賄われている。国からは、それぞれの公立大学の運営費を補うために必要な分として算出された額が、地方交付税の「教育費」に盛り込まれる形で自治体に交付される。地方交付税は自治体の一般財源に組み入れられるため、学部系統ごとの係数と学生数に応じて交付された“公立大学分”を、実際に大学に回すか別の事業にあてるかは自治体の判断に任される。


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