ベネッセ教育総合研究所
特集 高等教育分野への新規参入者たち
PAGE 4/22 前ページ次ページ


自主財源率が低い医科系単科

 03年度の大学予算に占める学生納付金など自主財源の割合は、全体平均では27.7%だが、個々の大学で見ると、公立大学の多様性が鮮明になる。この割合が低いのは、大学院大学や新設校を除くと、奈良県立医科大学(10.7%)、札幌医科大学(11.3%)などで、医科系単科大学が目立つ。
 一方、この割合が高い、つまり大学の運営を自主財源に頼る傾向にあるのは、下関市立大学(99.9%)、長崎県立大学(81.6%)、高崎経済大学(81.3%)、都留文科大学(73.2%)などで、地方小・中規模市の大学で目立つ。ちなみに、私立の状況を日本私立大学連盟の02年度調査で見ると、収入に占める学生納付金の割合は加盟大学全体の平均で64.1%となっている。
 これらの公立大学は、他の指標で見た場合にも同じような位置を占める。例えば学生一人あたりの経常費は全76校の平均2049円に対し、下関市立548円、高崎経済672円、長崎県立689円、都留文科742円。教員一人あたりの学生数(03年度)は平均10.7人に対し、下関市立43.3人、高崎経済40.9人、都留文科37.9人、長崎県立37.6人となっている。
 この中で都留文科大学は、設置者予算に占める大学予算の割合が24.0%で、4分の1が投じられている点が目を引く。山梨県都留市の人口は、03年6月現在約3万4000人。同大学の学生総数は3000人弱で、人口の9%弱の規模の顧客が大学にいることになる。公立大学協会が算出した同大学分の地方交付税(基準財政需要額)と自主財源額を合わせると、大学予算額を上回る。大学が一大公営事業になっている小規模市の姿が浮かび上がる。


PAGE 4/22 前ページ次ページ
トップへもどる
目次へもどる
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse