ベネッセ教育総合研究所
特集 コンペ型事業を考える
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コンペ型事業を考える
−21世紀COE、特色GPから現代GPまで
 文部科学省では、コンペによる教育・研究支援事業を「国公私立大学を通じた大学教育改革の支援」と総称している。2005年度概算要求ではこの中に、「特色ある優れた大学教育の一層の展開」「社会ニーズにマッチした創造的な大学院教育の展開支援」「資質の高い教員養成を目指す高度・実践的な取組支援」という三つの柱を立てた。
「国公私を通じた支援」の全体像
 キャリア教育を導入する大学が増える一方で、多くの大学が様々な問題を抱えている。そもそもキャリア教育とは何なのか。何をモデルにし、どのようにして効果を検証できるのか。大学の人材育成や諸外国におけるキャリア教育に詳しい専門家に話し合ってもらった。
現代GPで政策課題に対応

 文部科学省が2005年度の実施を検討しているコンペ型教育・研究支援プログラムは図表の通り。ただしこれは、あくまでも概算要求の内容だ。11月中旬現在、文科省の担当者は「財務省との調整はなかなか厳しい」と話しており、年末の予算編成では、一部のプログラムが削られたり、他と統合されたり、予算規模が縮小される、といったことも十分予想される。

図表

 「特色ある優れた大学教育」には、六つの事業がある。「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」は、03年度にスタート。02年度に初のコンペ型プログラムとして始まった21世紀COEは、博士課程レベルの研究が対象で、当初「トップ30」という名で大学のみならず社会一般からも注目を集めた。一方で私立大学を中心に、「国の重点的な資金投入を受けてきた旧帝大をはじめ国立が独占するのは明らかで、公平な競争にならない」と強い反発が起きた。研究だけでなく、学部レベルの教育も評価・支援してほしいとの声を受けてできたのが、特色GPだ。
 03年度は応募664件の中から80件、04年度は応募534件の中から58件が採択された。2年目に応募が2割も減ったのは、具体的なテーマが示された現代GPへの乗り換えが多かったためと考えられる。3回目となる05年度は応募件数の1割程度を採択する予定だ。
 04年度から始まった「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」は、政策課題に対応した社会的ニーズの高い教育プログラムが対象。審議会、経済財政諮問会議、総合科学技術会議など政府の各種審議機関から出された提言と、法律で推進している施策に対応するテーマで募集する。
 例えば04年度と同じテーマ「知的財産関連教育の推進」は、特許などの知的財産を国際競争力の強化につなげようとの国策の下、知的財産法で大学の教育責任が努力義務として規定されたことを根拠に、設定された。ほかに「仕事で英語が使える日本人の育成」「循環型e ラーニングプログラムの推進」などのテーマも。05年度新規のテーマ「地域社会との連携強化」は、大学単独での取り組みと複数大学の連携によるものを分けて募集する。
 このように具体的なテーマが設けられている点が、従来の特色GPとの大きな違いだ。さらに、特色GPが継続的に取り組まれ実績があるものに限定しているのに対し、現代GPは、具体的な計画と実施体制が示された実現可能なものであれば、実績がなくても応募できる。
 国が特定のテーマの教育を大学に推奨することについて、文科省の担当者は「当初、大学から反発が出ないか危惧したが、むしろ『テーマが具体的なので申請しやすい』と歓迎する声が多い。申請するかどうかを各大学の判断に任せている点でも、政策の押し付けにはあたらない」と話す。


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