ベネッセ教育総合研究所
特集 教育の質をどう保証するか
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質の保証をめぐって
「一定の事前評価は必要」と設置認可の意義を再評価

 答申では、第2章で「高等教育の質の保証」の項に5ページを割き、冒頭で以下の要約を示した。

 高等教育の量的側面での需要がほぼ充足されてくる一方、特に大学設置に関する抑制方針の撤廃や準則主義化等もあり、大学等の新設や量的拡大も引き続き予想され、また、各高等教育機関が個性・特色を明確にしながら、大学が自律的選択に基づいて機能別に分化するなど全体として多様化が一層進むにつれて、学習者の保護や国際的通用性の保持のため高等教育の質の保証が重要な課題となる。
 個々の高等教育機関は、教育・研究活動の改善と充実に向けて不断に努力することが大切である。また、高等教育の質の保証の仕組みを整えて効果的に運用することは、国としての基本的な責務である。
 高等教育の質の保証の仕組みとしては、事後評価のみでは十分ではなく、事前・事後の評価の適切な役割分担と協調を確保することが重要である。設置認可制度の位置付けを一層明確化して的確に運用するとともに、認証機関による第三者評価のシステムを充実させるべきである。
 個々の高等教育機関が質の維持・向上を図るためには、自己点検・評価がまずもって大切である。
 また、教育内容・方法や財務状況等に関する情報や設置審査、認証評価、自己点検・評価により明らかとなった課題や情報を当該機関が積極的に学習者に提供するなど、社会に対する説明責任を果たすことが求められる。


 大学が多様化する中、学習者保護や国際的通用性保持のための質の保証が重要な課題だと位置付けた上で、その仕組みを整えることが国の責務だと提唱。背景には、設置認可の弾力化で「事前規制から事後チェックへ」の流れが進む中、「すべて届け出制にして市場の評価や認証評価に委ねるべき」との声が上がっていることがある。答申では、「事後評価までの情報の時間的懸隔に伴う大学等の選択のリスクを学習者の自己責任にのみ帰するのは適切ではない」とし、ディグリーミル(学位販売機関)の出現を抑止する必要性にも触れ、「質の保証は事後評価のみでは十分ではなく」「一定の事前評価は必要」と指摘。設置認可制度の位置付けをより明確にすべきだとした。


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