ベネッセ教育総合研究所
特集 教育の質をどう保証するか
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「事前と事後の協調」の重要性を指摘

 事前・事後の評価の関係について「適切な役割分担と協調を確保することが重要」とした上で、特に設置認可制度の在り方に踏み込んだ点がポイントだ。「現行の大学設置基準等の規定は定性的・抽象的なものが多く、設置審査の具体的な判断指針としては必ずしも有効に機能しにくい面もある」と指摘、「明確化すべき観点やルール化を図るべき事項が多くある」と結論づけた。取り組むべき施策としてはより具体的に、「専任教員」の教育研究・管理運営上の責任、「実務家教員」の実績評価方法、教養教育の実施方針の明示などを例示して、ルールの明確化を求めている。これらは、「大学とは何か」という根本的な問題意識の下で点検されるべきとの考えも示された。
 しかし、弾力化が進んできた設置基準を規制強化の方向に戻すことには、大学だけでなく社会からも反発が予想され、どのような形でルール化するかが課題となる。答申では「全て法令等の形式に網羅的・具体的に表現することには困難な面もあり、今後、適切に運用していく必要がある」との記述にとどまった。
 設置認可の審査の過程について「申請者と大学設置・学校法人審議会との『対話』を通じて、相応の時間をかけて、設置構想の実現可能性や信頼性を確保し、その内容を充実させる手続」と表現した中教審の見解は注目される。申請する大学側からは「上からのチェックと修正指示」とも見えるプロセスが、本来は、大学の質向上に向けた対話であり共同作業であるべきとの考え方で、示唆に富んでいる。一方で、対話の余地がない届け出制の拡大に歯止めをかけるものとも読める。


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