ベネッセ教育総合研究所
特集 教育の質をどう保証するか
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質保証のため大学自らの「不断の努力」を求める

 答申では、学校教育というサービスについて、情報の非対称性、利用者が「学生」であること、サービス提供と効果の検証に一定期間を要すること、などの点で特殊性があると説明。他のサービスと同様に市場性を有することに留意しつつも、市場万能主義に依拠すべきではない、としている。さらに、設置認可制度への届け出制の導入などによって、大学の参入や組織改編が促進されている現状を指摘。設置認可制度が大きな「参入障壁」になっているとはいえない、との見解も示した。これらの記述には、株式会社立大学の設置を認める教育特区の拡大に対する、委員や文科省の危機感が映し出されている。
 事後チェックの中核となる認証評価制度については、「社会に早期に定着し活用されることが望ましい」「分野別評価についても積極的に採り入れられることが期待される」とした。第5章の「取り組むべき施策」では、認証評価以外の各種評価活動の支援と評価する側の適正さの担保を挙げた。
 答申ではさらに、教育の質を保証するためには設置審査と認証評価だけでなく、教育・研究の改善と充実に向けた大学自身の「不断の努力」が重要だとし、自己点検・評価もその中に位置付けている。大学に対し、これらの結果について積極的な情報提供を求めている点も注目される。例として「ホームページ等を活用して」「社会に対する『約束』とも言える設置認可申請書や学部・学科等の設置届出書、学則」などの開示が挙げられた。

委員の顔ぶれ(肩書きは05年1月現在)

中央教育審議会
会長 鳥居泰彦(慶應義塾学事顧問、日本私立学校振興・共済事業団理事長)
大学分科会
分科会長 佐々木毅(東京大学総長)
委員
石倉洋子(一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)、内永ゆか子(日本アイ・ビー・エム株式会社取締役専務執行役員)、奥島孝康(早稲田大学学事顧問・2004年3月12日まで)、岸本忠三(大阪大学名誉教授、大阪大学前学長、総合科学技術会議議員)、木村孟(独立行政法人大学評価・学位授与機構長)、黒田玲子(東京大学教授、東京大学総長特任補佐、総合科学技術会議議員)、佐藤幸治(近畿大学法科大学院長、京都大学名誉教授・2004年7月12日まで)、寺島実郎(株式会社三井物産戦略研究所所長、財団法人日本総合研究所理事長)、中嶋嶺雄(国際教養大学理事長・学長、アジア太平洋大学交流機構(UMAP)国際事務総長)、茂木友三郎(キッコーマン株式会社代表取締役会長)
臨時委員
相澤益男(東京工業大学長)、天野郁夫(独立行政法人国立大学財務・経営センター研究部長)、安西祐一郎(慶應義塾長)、生駒俊明(一橋大学大学院国際企業戦略研究科客員教授)、石弘光(一橋大学名誉教授)、井村裕夫(財団法人先端医療振興財団理事長、科学技術振興機構顧問)、荻上紘一(独立行政法人大学評価・学位授与機構教授)、黒田壽二(金沢工業大学学園長・総長)、佐々木正峰(独立行政法人国立科学博物館館長)、島田Y子(学校法人文京学園理事長、文京学院大学長、文京学院短期大学長)、関根秀和(大阪女学院長、大阪女学院大学長、大阪女学院短期大学長)、長尾眞(独立行政法人情報通信研究機構理事長)、南雲光男(日本サービス・流通労働組合連合顧問)、西室泰三(株式会社東芝取締役会長)、野依良治(独立行政法人理化学研究所理事長)、濱田道代(名古屋大学大学院法学研究科教授)、山崎正和(東亜大学長)


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