ベネッセ教育総合研究所
教育力の時代
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失敗繰り返す学生でも達成感を味わえる指導

 「創成プロジェクト」の成績は、個人とグループの達成度を総合的に評価する。この授業に携わるのは塚本教授のほか教員11人、院生のTA11人。プレゼンテーションやレポート発表で、教員がグループを評価する。個人については、教員とTAがペアを組んで1グループずつ担当し、物づくりの過程でのリーダーシップ、課題探求力、創成能力(創造性に対する貢献度)など5項目を採点する仕組みだ。04年度の評点配分は個人点45点、グループ点55点。採点の基準や教員とTAの役割分担などはマニュアルに細かくまとめられている。
 演習を主体とした授業では、教員やTAが学生にどう関わるかも重要だ。98年度は、教員は何も教えず学生の自主性に任せていたが、2年目は方針を転換。98年の作品をビデオで見せ発想のヒントを提示し、グループごとのディスカッションに担当教員が加わり、議論がずれたら軌道修正するようにしたという。
 「何も助言しなくても独創的な学生はユニークな作品を作るので、こちらも良い授業をしているような気になります。しかし一方で、失敗を繰り返してばかりの学生に達成する満足感を与えないと、授業に取り組む意欲自体が低下してしまいます」
 そもそも、「技術文章学」「創成プロジェクト」という二つの科目の主なターゲットは、表現力、発想力が不足している学生だと塚本教授は言う。
 「優秀な学生は放っておいても育ちます。これらの授業は、そうでない学生の底上げをするのが狙いです。専門知識だけでは社会に出て活躍することはできません。知識を生かすための表現力、発想力を身に付け、将来独創的な研究をする技術者に育ってほしいと期待しています」


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