ベネッセ教育総合研究所
特別企画  レポート 05年度私立大学 志願状況分析
 
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法学部は2年連続で減少

 次に私立大学の志願者を学部系統別に分類して、その動向を見てみよう。(図表2)は学部系統別に04年度と比較したものである。

図表

【法学部系統】  04年度に法科大学院が新設されたことから、法学部に対する受験生の関心が高まっていくかと思われたが、今回の集計を見ると意外に志願者の減少幅が大きい。それは、法科大学院卒業後の新司法試験の競争率などが、当初の予測より厳しいことがわかってきたからであろう。そのような状況下で、法科大学院での学習についていけるのか、進学しなかった者の就職はどうなるのかなど、法学部志望者にはかえって不透明な部分が多くなってしまった。それを反映しての敬遠傾向といえるかもしれない。中央大学、早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、法政大学、日本大学など、大規模校の法学部が軒並み志願者を減らしている。

【経済・経営・マネジメント学部系統】
 1.8%の減少にとどまっており、自然減を考えると人気系統といえる。これまで、年々大幅な減少を続けてきた。もともと志願者数が最も多い系統だけに、他の系統と同じ指数であっても志願者の増減の絶対数は、極端に変動する。05年度入試では、法学部から志願者が流入したと思われる。それは、法学部の志願者数が減少した大学で、経済系や政策系の学部で増加しているケースが多く見られるからである。慶應義塾大学、中央大学、明治大学、南山大学、名城大学などがその例だ。さらに、最近いわれるようになってきた不況からの脱出、就職状況の好転も、この学部系統の人気を押し上げていると思われる。

【総合政策・政策科学部系統】
 指数119.8と大幅に増加。法学部の政治学科などから発展してできた新しい系統だけに、法学部志願者が流入したと考えられる。中京大学が新設した総合政策学部に2000人を超える志願者が集まったことも、全体を押し上げる大きな要因となった。

【社会・社会福祉学部系統】
 04年度入試では志願者数が減ったが、05年度は再び盛り返した。北星学園大学、駒澤大学、上智大学、東洋大学、日本女子大学、立教大学、愛知淑徳大学、同志社大学、佛教大学、関西学院大学、熊本学園大学などが増加が目立った大学である。

【環境関連学部系統】
 近年、社会的な関心が高い「環境」という言葉を名称に付した学部系統を集約した。04年度までは志願者増となっていたが、05年度入試では急落した。環境問題に対する関心が低下しているとは思われないが、各大学の指数の減少幅は大きい。これまでの増加分の揺り戻しといえるだろう。

【国際・外国語学部系統】
 5.3%の減少と振るわない。大学間で人気格差がかなり大きいことがこの系統の特徴。近年は、この系統以外の学部でも国際化に対応する様々なカリキュラムを設ける大学が増えた。こうした状況が人気低迷に拍車をかけているものと思われる。

【情報学部系統】
 理工系以外で、情報という言葉を付した名称の学部系統をまとめた。以前は経営情報学部など経済系の情報学部が多かったが、最近は様々な形態の学部が現れ、それに伴って人気が高まっている。明治大学の情報コミュニケーション学部は、04年度の新設時には、5000人を超える志願者が集まった。05年度入試ではセンター試験利用方式が導入され、さらに約2400人が上積みされた。そのほか、千葉工業大学、立命館大学、関西大学などで、志願者が多く増加率が大きかった。

【文・人文・教養・心理学部系統】
 志願者指数は全系統の平均にほぼ一致する。心理系の学部の志願者を抽出して集計したところ、05年度入試の志願者数は6万5089人で、前年度より5739人、9.7%も増加していた。心理学の人気は衰えていない。この系統は女子受験生が多いことも特徴の一つである。



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