ベネッセ教育総合研究所
特別企画  インタビュー 新課程や国立大学の日程一本化の影響
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影響が大きい分離分割方式の解消

―06年度入試ではどのような動向が予想されますか。

木野内
 先ほど述べた通り、新課程の変化が小幅なため、その影響は少ないでしょう。ただし、理科IIは1単位増えて3単位になり、現行の理科IBの内容の一部が含まれるようになりました。そのため出題範囲が広がり、受験生にとってはハードな内容になりそうです。センター試験で、理科IIまでの2科目を課す大学では、理科の出来が合否の分かれ目になるでしょう。

―07年度入試以降で動向が変化しそうな要因はありますか。

木野内
 注目しているのは、国立大学で分離分割方式がくずれ、07年度から一部の大学・学部で後期日程を廃止し、前期日程一本化となることです。07年度は京都大学や東北大学が実施に踏み切り、08年度からは他大学も一斉にこの動きに続くと予想されています。3月25日付の朝日新聞の調査では、後期日程の廃止を中心に見直しを考えている大学は33校に上っています。今後は他大学の動きを見て、逆に後期日程一本に絞る国立大学も出てくるでしょう。このような国立大学の入試日程の変更は、私立大学の志願動向にも大きな影響を及ぼします。

―具体的にはどのような変化が考えられるでしょうか。

木野内
 多くの国立大学が事実上1回しか受験できなくなるため、国立大学の志願者が浪人を避けて安全志向に走る可能性があります。従来、国立大学との併願者の多い私立大学では、さらに志願者が増えるでしょう。07年度入試では、前期に一本化する国立大学が少ないため、ごく一部の難関私立大学に限られるでしょうが、08年度は大きく動く可能性があります。
 ただし、全体的には入試環境の緩和が進んでいるので、もともと国立大学との併願が少ない中堅以下の私立大学まで志願者が増えることはないと思われます。実際は、志願者をさらに増やす難関、有名私立大学と、そうでない私立大学との格差がさらに広がることになるでしょう。
 難関、有名私立大学で志願者が増えたとしても、国立大学に合格すれば逃げていくので、合格者に占める入学者の歩留まり率は下がります。どこまでの成績であれば合格とするか、難しい判断を迫られるでしょう。



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