ベネッセ教育総合研究所
特集 保護者の教育力を生かす学校づくり
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学校が家庭教育支援の場をつくる
――保護者自身の課題も踏まえて、学校が信頼を取り戻すにはどうすればよいのでしょうか。
 学校は、家庭の「ファミリーリテラシー」を高める支援をする場ともなるべきだと思います(図6)。
図表
 すでに幼稚園や保育所では、“子育て支援”が本来の業務に加わりつつあります。例えば、いまの若い親は、あやし方がわからない人も多い。そこで、「このように声をかけて、こんなしぐさで…」と実際にして見せて、体で覚えてもらう支援が始まっているのです。小学校もこれにならうべきでしょう。
 このとき大切なのは、「保護者を教育しよう」という姿勢ではなく、保護者と子どもが一緒に何かする場をつくることです。保護者のなかには、子どものためにひと肌脱ぎたいという人が必ずいます。将棋を教えてやりたいとか、野球のコーチをしたいとか。そういう人の活動の場を学校が設ければいいのです。保護者に限らず、地域に住む、退職された方でもかまいません。学校を大人が日常的に出入りする場にしたほうが、不審者が入りづらいという効果もあります。
 親の集う場になり、お互いの悩みも相談できる。子どもと一緒に体験をすることで、親子のコミュニケーションも活性化する。実際に、山形県鶴岡市にある市立朝暘第一小学校では、学校図書館を充実させ、保護者や地域の人が集まる場として活用しています。そこでは、親と子が一緒に調べ学習などをすることができ、子どもの読書量や学力がはっきりと伸びています。学校がそんな地域の文化拠点になることが、「ファミリーリテラシー」を高めることにつながるのです。


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