ベネッセ教育総合研究所
地方自治体がひらく新しい教育
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地域の一員としての自覚を育む活動
 地域の人を受け入れるだけでなく、子どもを地域に送り出すことにも重点を置いている。篠山市教育委員会が積極的に後押しするのが、兵庫県の事業である「トライやる・ウィーク」(注1)。中学2年生が、1週間学校を離れ、福祉施設や清掃センターをはじめ、さまざまな環境のなかで“自分を試す”活動だ。
注1 トライやるウィーク/兵庫県下の全ての公立中学校の2年生を対象に98年度から実施している1週間の地域体験活動。
  さらに、この活動の充実を図るため、篠山市教育委員会では独自に「トライしよう・DAY」を設けている。これは小学6年生が対象で、祭りのスタッフとして働くなど、自ら企画した社会貢献活動を夏休み中の2日間を利用して実施する。地域社会のなかで自主性を磨き、地域の一員としての自覚を促すことで、リーダーシップや規範意識を育てようという試みだ。
  「地域の人に褒められたり、叱られたりしながら、何かをやり遂げることで、自信が芽生えます。教室では得難い“生きる力”が身につく教育です」(水井氏)
  教師が地域に出ていくことも積極的に促している。夏休みを利用し、教師が福祉施設や公的施設、民間企業などを訪れ、実際に仕事に参加する教職員の社会体験研修制度は、学校の枠に留まることなく、広い視野を身につけてほしいとの考えから設けられた。昨年1年間では、市内在勤教師の1割強にあたる50人近くがこの制度を利用した。
  「住民に教育活動への参加を呼びかけたり、子どもたちを地域に送り出したりする前に、教師も率先して外の世界を知る必要があります。その点でも、非常に有意義な体験だと考えています」(水井氏)
  あくまでも教師の自主性に任せた制度で、派遣先なども教師の判断に委ねられるが、養護学校の生徒の就職先に赴き、成長ぶりを確かめながら、一緒に汗を流した教師もいるという。


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