ベネッセ教育総合研究所
地方自治体がひらく新しい教育
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区独自の教材で土曜補習教室
 墨田区では、05年6月から自主的学習・家庭学習支援の一環で、区内の全小・中学校で隔週土曜日に「土曜補習教室」を実施している。
  「東京都23区のなかでは、墨田区が4番目の取り組みです。参加は希望制で、子どもたちに自主的に学習する習慣をつけてもらうことが第一の目的です。自ら学ぶ姿勢が身につかなければ、いくら学校でわかる授業、楽しい授業をしても学力として定着しないでしょう。私たちは土曜補習教室だけで学力を上げようと考えているのではなく、土曜補習教室を通して、子どもたちが『自分で勉強することが楽しい』と思うようになってくれればいいと思います」(茅原氏)
  土曜補習教室には、子どもたちの指導に当たるため、都内やその近郊の教職経験者や教師を目指す大学生などを「アシスタントティーチャー」として派遣するほか、保護者や地域住民のなかから「学習ボランティア」も募集し、組織化する。まさに、地域の教育力を生かそうという発想だ。
  「普段から子どもたちと接している先生方の協力もできるだけお願いしたいところです」(鹿島田氏)
  土曜補習教室では、区で独自に開発した教材が使用される。
  「これは、インターネットを使ったコンテンツ配信です。教科・分野ごとに、子どもが自分のレベル・学習段階に応じた問題を組み合わせ、プリントアウトして使えるシステムを開発しました」(茅原氏)
  主に土曜補習教室で活用するが、補習教室に参加しない子どもにも、各自プリントアウトして自主学習教材として利用できるようにしているのが特徴だ。
  教材は、単純な学年別ではなく問題のレベルによって分類されている。これは、下の学年の学習内容だからと恥ずかしくて聞けないままになっている子どもが、つまずいている部分を抵抗なく復習できるようにという配慮からだ。子どもたちは自分のレベルに合った教材に取り組むことで、わかること、できることの喜びを感じられる仕組みになっている。そして、これこそが、子どもの学習意欲につながっていくのである。
  また05年度からは、保護者や家庭向けの「家庭学習講座」を年8回程度実施する。この講座は、学習到達度調査と学習意識調査の結果の相関関係を示しながら、子どもたちのよりよい生活習慣や学習習慣を築くためには家庭でどのような働きかけができるのかなどを、保護者と考えていく場になる。単に家庭学習のアドバイスだけでなく、保護者自身に新しい学習指導要領による“授業”を体験してもらうなどの働きかけをすることで、学校教育について知ってもらった上で、学校と家庭、地域が有機的に連携して教育をつくり上げていく土台を築くのも目的の一つだ。
  また、この「家庭学習講座」に加えて、学習に関する悩みなどを子どもたちや保護者が気軽に相談できる「電話での学習相談」も家庭学習支援の一つとして実施する予定だ。


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