ベネッセ教育総合研究所
特集 チャレンジする短大
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地元の短大への進学率

 短大の入学者のうち、その短大が設置されている都道府県内にある高校の卒業者の割合を示したのが図表3だ。入学者は女子が圧倒的多数を占め、地元志向が強い傾向があることから、数%の変動はあるものの、ほぼ60%前後で安定している。約30年前、20年前と比べても大きな変化はない。これは、全体としてみれば、地元短大への進学希望者層が、常に一定の割合で存在していることを意味している。
図表3  地元の短大への進学率の推移

図表

学校基本調査(03年度は速報値)より
 しかもこの数字はここ数年、微増傾向にある。地元の大学への進学率は30%台後半だが、短大とほぼ同じような増加傾向を示していることから、経済的な要因も無視できないが、時代やニーズに合わせた短大改革の成果が、地元に浸透しつつあると言うこともできそうだ。

都道府県別地元進学率

 地元短大への進学率は、都道府県によって大きく異なる。図表4は03年度の地元進学率を高い順に並べたものだ。トップ3の北海道、福岡、愛知は、10年以上ほぼ同じ割合で推移している。地元に短大が数多く設置されていることや、地元志向の強さなどが影響しているものと思われる。
図表4  都道府県別地元短大進学率(03年度)

図表

学校基本調査より
 逆に、地元進学率が低いのは、地元に短大が少なく、近隣に大都市圏がある場合が多い。埼玉が好例で、短大進学者の半数以上は東京へ流出している。和歌山の場合は大阪や兵庫へ、島根は岡山や広島へ、奈良や滋賀は大阪や京都へ進学者が流れている。
 この地元進学率を2年前の01年度と比較した数値も合わせて示した。これを見ると、この2年での地元進学率の増減がわかる。
 まず、東京や大阪、福岡などの大都市圏をもつ都道府県は、地元進学率は高めで、変化も少ない。広島や京都なども全国平均レベルながら、安定した地元進学率を保っている。  岡山、徳島、兵庫などは地元進学率が比較的高めで、それがさらに上がる傾向にある。逆に、埼玉や神奈川などは、東京への流出がさらに進み、地元進学率が下がる傾向が見られる。
 地元進学率が5ポイント以上上昇したのは、宮崎、青森、岩手、岐阜など7県にのぼる。中には大学の地元進学率が大きく減少しているところもあり、相対的に短大への地元からの志向性が強まったと見ることができる。
 とくに宮崎県は、13.6ポイントも地元進学率が上昇している。短大進学者自体は2年間で70人減少しているものの、地元進学者は125人も増加。03年度に南九州短大と宮崎女子短大が学科を改組し、志願者増に結びつけたことも原因の一つだが、地元進学率の上昇傾向は7〜8年前から続いており、地域のニーズを重視した教育改革の成果が、徐々に浸透してきた結果ともいえよう。


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