入学者数と定員充足率
短大全体の入学定員と入学者数の関係を示したのが図表5だ。 |
図表5 短大の入学定員、入学者数、定員充足率の推移 |
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学校基本調査(03年度は速報値)、全国短期大学一覧より |
図表1でも示したが、学生数の減少に合わせて4大化を図るなど、短大はその数を減らしつつあり、入学定員もそれに伴って減少していることがわかる。
入学者数の減少率が入学定員の減少率を上回ったため、99年度以降は定員充足率が100%を切る、いわゆる「全入時代」になっている。ただし、入学者数の減少率を算出すると、99年度は前年比11.7%、00年度は同16.3%と大きかったが、02年度は同6.8%、03年度は同6.9%の減少にとどまり、その度合いは緩やかになっている。
そのため02年度以降、定員充足率は上昇傾向に転じた。このまま入学者数が下げ止まるかどうかは予断を許さないが、少なくとも、4大化や学科改組、募集定員の縮小などの経営努力によって、短大全体の定員充足率は持ち直しつつあるといえる。
分野別定員充足率
図表6は、私立短大における03年度の分野別定員充足率を示したものだ。
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図表6 私立短大の分野別定員充足率 |
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日本私立学校振興・共済事業団調査より |
「保育・幼児教育」「看護・保健」「福祉」など資格取得に対応した分野は、いずれも100%を超える定員充足率となっている。子育て支援のための保育施設の拡充や、看護・介護要員の増強など、少子高齢化に対する社会のニーズに受験生が敏感に反応している結果だろう。とくに「福祉」は、前年度と比べて、5.8ポイントも定員充足率が伸びた。
このほか、資格とも連動し、技術を生かした就職で強みを発揮できる「理工」も、前年比7.6ポイントアップの高い定員充足率を示している。
「国文」は、前年度の66.1%から7.7ポイントも上昇したが、これは学科改組などにより入学定員が減少したことが原因だろう。
地域別定員充足率
私立短大の定員充足率を地域別に見たのが図表7だ。03年度は、北海道と九州で100%を超えているほか、この2地域を含め、東北、南関東、東海、京都・大阪、近畿、中国・四国の各地域で、定員充足率が前年度を上回った。
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図表7 私立短大の地域別定員充足率 |
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日本私立学校振興・共済事業団調査より |
募集定員を削減しているため、各地域とも入学者数自体は減少している。その中で定員充足率が上がったということは、志願者の動向に合わせた入学定員の調整がバランスよく行われているということを意味している。地域の実情に合った改革の成果であり、全国の多くの地域で定員充足率が向上しているのは、地方にも地道な努力を積み重ねている私立短大が多いということだろう。
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