ベネッセ教育総合研究所
特集 チャレンジする短大
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一つの短大を平均5人の評価員が担当

――短大基準協会が行う第三者評価の目的は何でしょうか。
 第1の目的は、「高等教育機関としての質の保証」です。今回の第三者評価の法令化にあたり、文科省は、設置認可を与えた当初の水準を短大がその後も継続して保っているかどうかを重視しているように思います。そこで、質が維持されていることを証明しようというわけです。
 第2の目的は、「高等教育機関としての質の充実・向上」です。女子を中心とする受験生のニーズの多様化や就職難など様々な要因が複合し、多くの短大はここ数年、志願者の大幅減という事態に直面しています。今、短大は自らの油断を戒め、質の保証に加えて、さらなる充実・向上を図るべく努力しなければなりません。短大基準協会の第三者評価がそのきっかけになればいいと考えています。
 第3の目的は、「高等教育機関としての信頼の確保」で、評価結果を公開することで短大が社会的な信頼を得ようというものです。しかしこれはとても難しい問題です。情報を安易になんでも公開すると、マスコミがその一部だけを取り上げてセンセーショナルに報道することも考えられるからです。このことを踏まえた上で、どこまで公開すべきかについて議論をしているところです。

――具体的にはどのような内容や基準で評価を行う予定ですか。
 評価内容については、まだ案の段階ですが、10の評価領域に分け、各領域で、どのような点について評価するかという評価項目を明示します(図表)。

図表  短期大学評価基準(評価領域及び評価項目)[案]

図表

 また、各評価項目について、評価の観点についても細かく提示する予定です。たとえば、「教育の内容」という評価領域の「授業内容・教育方法に工夫・改善がみられること」という評価項目については、
(1)シラバスあるいは講義要項が作成され、学生や教職員に配布されるとともに学生や教職員は活用しているか
(2)シラバスあるいは講義要項は授業の概要を示す十分な内容を有し、また学生に理解しやすい表現となっているか
(3)それぞれの授業は短大にふさわしい内容とレベルを有しているか
(4)それぞれの授業の単位認定と評価は適切におこなわれているか
(5)それぞれの授業について学生は意欲を持って履修しているか
(6)それぞれの授業のクラス規模は適当であるか
といった評価の観点が示されます。
 審査対象の短大には、この評価項目に基づいて自己点検評価を実施し、その報告書を短大基準協会に提出してもらいます。協会では自己点検報告書の作成マニュアルも準備しているところです。

――大学評価・学位授与機構なども短大の第三者評価を受け付けるようですが、毎年どれくらいの短大が短大基準協会の評価を受けることになると予測していますか。
 短大の評価にあたる評価機関は複数できる予定ですから、短大の評価依頼先は予想以上に分散するかもしれません。しかし、本協会の会員校は04年3月31日現在で、全短大の8割近い408校にも上ります。公立短大も参加を希望されているところがありますので、今後は430校程度まで増えると予想しています。7年に一度、これらの短大が評価を受けるとなると、毎年、平均しても60〜70校の短大を評価することになります。

――そうなると評価する側も相当多くの人員が必要になりますね。
 そうです。一つの短大を平均5人の評価員で評価しますので、毎年のべ300人以上が必要になるでしょう。評価員は、会員校から3年任期で1人以上任命してもらいます。登録制にして、そこから対象の短大を評価するのにふさわしい人を選出したいと考えています。
 評価員は助教授以上の教員が原則ですが、財務、管理・運営などの評価領域については適正な判断ができる次長級以上の幹部事務職員を入れてもいいことにしています。また、学長や理事長クラスの方には各評価チームに最低1人は入ってもらい、訪問調査の際などにリーダーシップをとってもらいます。


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