ベネッセ教育総合研究所
特集 チャレンジする短大
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書類調査と訪問調査の2段階で適格認定

――評価はどのような手順で進めていくのでしょうか。
 評価の流れとしては大きく書類調査と訪問調査の2段階に分かれます。書類調査では、評価対象の短大が作成した自己点検報告書を評価員に配布します。評価員は評価マニュアルに従って、各評価項目について「適」「不適」の判断を下します。また、この時生じた疑問点や質問事項も書き出しておいてもらいます。
 次に、評価員同士で事前に質問内容等の擦り合わせを行ったあと、2〜3日間の訪問調査を実施します。訪問調査では、書き出した疑問点や質問事項についてヒアリングし、各評価領域について、評価チームとして「適」「不適」の評価を出していただきます。
 これらの評価結果をもとに、最後に短大基準協会が短大全体として「適」「不適」「保留」の評価をします。

――短大基準協会がつける「保留」というのはどのような判断基準でつけられるのですか。
 「この評価領域や項目については今のところ不適格だけれども、この点を早急に改善すれば適格になりますよ」ということです。当初は段階別評価でもいいのではという意見もありましたが、議論の末、このような認定システムに落ち着きました。これは、評価結果によって短大に自助努力を促すには、ランキングにつながりやすい段階別評価よりも適格認定のほうがふさわしいと判断したためです。なお、公正な判断がスムーズに行えるように書類調査の観点や、訪問調査の進行方法などを明記した、評価員マニュアルも作成する予定です。

――評価を受ける短大側も相当な準備が必要になりますね。
 そのために各短大で、ALO(Accreditation Liaison Officer=第三者評価連絡調整責任者)を任命してもらう予定です。ALOは第三者評価にあたって統括マネージャーのような役割を担います。今後、評価員やALOが評価のエキスパートとして活躍し、社会的認知を広げることで、評価の文化を根付かせていきたいと考えています。そのため、彼らを対象とした研修会も実施しようと思っています。

評価結果を生かせるかどうかはトップの姿勢にかかっている

――短大同士の適格認定では、互いに甘い評価に終始し、擁護しあう形になりはしないかという危惧もあります。
 外部から見るとそのように懸念されるのも分かります。しかし短大基準協会は、短大の第三者評価について、どの機関よりも情熱と気概を持って取り組んでいくつもりです。たとえば、全体として「適」となった短大であっても、評価領域や項目によっては厳しい指摘をすることもあり得ます。その指摘を真剣かつ前向きに受け止めて改善していけるかどうかは、理事長や学長といったトップの考え方に尽きると思います。
 たとえば、ある評価領域について、短大のほとんどが「適」の評価を受けたとします。「心配だったが、これで十分」とほっとするか、「他の短大もできているのであれば、さらに特色を出せるように努力しなければならない」と真摯に受け止めるかで、その後の取り組みも全く変わってきます。評価結果をどのように生かすかは、あくまでも評価を受ける側の意識の問題で、評価基準の問題ではありません。そこを誤解していただきたくないのです。

――そういう意味では、トップの間で第三者評価の活用について十分なコンセンサスが必要になりますね。
 本協会では評価システムが完成する6月以降に、各短大の学長・理事長クラスの人たちを集めて臨時総会、もしくはトップセミナーを開催し、第三者評価の意義や目的について理解していただこうと考えています。
 繰り返しになりますが、第三者評価が短大にとってプラスになるように仕向けていくことが、短大基準協会の最も重要な役割だと考えています。今回の第三者評価は、自分の短大を見直して質を向上・充実させるための一つのチャンスとして受け取ってほしいのです。


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