ベネッセ教育総合研究所
特集 チャレンジする短大
長崎短大
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入学直後から就職講座を開始、年賀状指導も実施

 同短大では、これまで必修科目として1年次の10月から開講していた就職講座を、04年度から4月スタートとした。入学直後から卒業後の進路や就職を意識させることにより、学習意欲や目的意識を高めることと、早い時期に進路に関する希望を把握し、より有効なサポートを行うことが目的だ。
 就職講座は、毎週1回45分の講義を中心とする。内容は、インターネットによるエントリー方法、履歴書の書き方、社会人としてのマナーの修得、企業研究、採用試験を想定した小テストなど多岐にわたる(図表2)。
図表2  就職講座スケジュール(英語科の例)
図表
 外部業者の企画や著名な講師に頼る講義では、就職活動のノウハウなど一般論のレクチャーに終わってしまう可能性もあると考え、全講座を就職課のスタッフが企画・運営し、講師も務める。「一人ひとりに合った就職に結び付けるには、学科の特性や学生の希望を熟知している我々スタッフが行う必要がある」と川久保課長。
 ユニークなのは、年賀状の指導を行っていることだ。背景には、保育学科の学生のほとんどが幼稚園など小規模で家庭的な雰囲気の施設に就職することがある。資料請求の文書や履歴書などの文体とは違う、形式ばっていない方法で志望の意志を伝える力を身に付けようというアイデアから始まり、全学科に導入した。「年賀状だけでなく、暑中見舞いを送ることも勧めています。採用する側は学生からのありきたりのアプローチに慣れているため、新鮮に感じるらしく好評のようです」。
 就職講座は原則として1年次の1月で終了するが、その後は学生の活動状況に合わせて個別相談に応じている。
 英語科にはフライトアテンダントやグランドスタッフといった航空業界の職業を目指す学生が多いことから、3年前に就職課主導で「航空業界研究会」を立ち上げた。学生が任意で参加し、模擬面接などの勉強会を実施し、成果を上げているという。

内定者や卒業生の相談にも対応

 就職課では内定した学生や卒業生の相談にも応じている。「中には、『内定ブルー』、つまり内定を手にしたけれども他の業界や企業がよかったのではないかと悩む学生や、複数の企業から内定をもらい1社にしぼれないという者もいます。こうした場合、とにかく話を聞き、対話することで最良の解決法を見いだしている」と川久保課長は言う。また、就職はしたが思っていた仕事とは違うため悩んでいるという卒業生の相談には、スタッフがその企業に出向いて本人と話し合い、雇用主と調整を図ったケースもあるという。
 川久保課長は最近、外部の「キャリアデベロップメントアドバイザー」講座の受講を始めた。社会情勢の変化に対応したより良い学生サポートをすることが目的だという。「悩みながら必死で就職活動をしている学生には『頑張れ』と励ますよりも、気晴らしを勧めたほうが良い場合もあります。できるかぎり学生と対話する機会を設け、有効なアドバイスができるよう心掛けたい」。
 今後は、卒業した学生をいかに就職先に定着させるかを念頭に、指導の改善を図っていく方針だ。


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