ベネッセ教育総合研究所
特集 リーダーシップが生きる職員組織
日本福祉大学
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理事会と事務局の直結で部局横断で課題に対応

 私立大学の事務組織は、法人事務局と大学事務局の2本建てが多いが、同大学では「総務局」「大学事務局」「企画・事業局」の3局がフラットな形で理事会とつながる組織体制をとっている。総務局長を務める岡崎真芳常任理事は、「大学の運営も含め、直面する経営戦略の課題は一つのセクションだけで解決できるレベルではないため、理事会と事務局をできるだけ直結させ素早い対応を可能にしたかった」と説明する。
 ただし、事務局にはルーチン業務もあるため、ある程度の領域で括る形をとった。また、教学と経営間のコンフリクトに適切に対応するため、総務総括理事の下に事務局全体が統括される形の組織にした。
 一般には法人事務局に置かれることが多い企画部門を、「企画・事業局」として3局の一つに据えたのは、「単なる理事会のスタッフではなく、長期計画に連動する政策部分に事務局全体の資源を集中させるため」(岡崎理事)。「企画・事業局」の局長を「長期計画企画部会」の責任者とし、ここで練られたものを「政策推進会議」にかけるなど、政策形成に関わる事務機能を重視した結果だ。このほかにも、経営に直結する「入学・広報部」や、トップの補佐業務を担う「総長・学長室」を理事に直結させ、効率を高めた。

専任職員の業務は「事業経営型」にシフト

 管理運営機構および事務組織の整備と同時に、職員の役割の見直しも進めている。98年には、職員の目標達成度を評価するシステムを組み込んだ新人事制度を導入した。「導入当初は評価制度を軸とした人事管理ツールでしたが、今後は経営戦略遂行のための業務管理ツールとしての機能を軸とした制度改革が急務です」と、岡崎理事は話す。
 さらに同理事は、人事制度改革の方針について、「ルーチン業務はアウトソーシングして相対的に独自の執行体系を確立し、専任職員は経営戦略上の課題に専念する方向を追求したい」と説明する。ルーチンのオペレーション部隊の養成については、同大学が出資する(株)NFUとの連携を図る予定だという。
 こうした体制は、専任職員の仕事を「事業管理型」から「事業経営型」に転換させることになる。そのため「大学院レベルで経営戦略を学ばせたり、政策課題に対する目標と成果を評価することで、組織的に能力向上を図りたい」(岡崎理事)という。



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