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大学側も人的・経済的にバックアップ
ファイナンス稲門会は、卒業生が自主的に企画・運営する組織だが、同時に大学との協力関係は極めて緊密だ。他の稲門会が本キャンパスの校友課で束ねられているのとは異なり、日本橋キャンパス内に事務局が設置されており、大学院の運営を妨げない範囲で、優先的に教室など施設を利用できる。
また、關(せき)昭太郎副総長が運営委員に、ファイナンス研究科の大村委員長が顧問に就任したほか、職員もボランティアとして活動を支えるなど、大学側からの人的・経済的な支援も大きい。ただ、大学側が主導権を握ってファイナンス稲門会を運営しようということではなく、基本スタンスは「卒業生が自ら協力したくなるような雰囲気をつくること」(大村委員長)にある。
ファイナンス稲門会は、金融関係者に限らず、ファイナンスに関心がある早稲田大学の卒業生ならば誰でも会員になれる。他の稲門会に所属しているかどうかも問わない。実際、政治経済、法、商などの学部を中心に、すべての学部から会員が集まっている。
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図表 ファイナンス稲門会の組織構成 |
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大学、卒業生の双方にメリット
出身地や出身学部・学科、職場など、何らかの人的つながりのある関係ではないだけに、各会員を引き付けるだけの魅力あるものにしなければ会の継続はおぼつかない。そのための仕掛けが、稲門会の活動を日本橋キャンパスの社会人教育とリンクさせることだった。
日本橋キャンパスの中核をなすNFSは、金融を核に経済学、法学、会計学など総合的な能力を持った専門家の育成を目指す。専任教員22人を含む70人以上の講師陣を揃えるとともに、103科目に及ぶ多様な科目構成で社会人の幅広いニーズに応える。
ファイナンス稲門会は学内の組織の一つとして、これらNFSやNBAを支援する役割も担う。今後、教育内容や研究活動で相互に交流が進んでいけば、大学、卒業生双方にとって大きなメリットが期待できる。「早稲田大学は、日本の金融・経済界の第一線で活躍する人材を多数輩出している」(大村委員長)。それらの卒業生にファイナンス稲門会の講師としてだけでなく、NFSやNBAにも協力してもらうことで教育内容はより実践的なものとなる。また、スクールやプログラム修了生の人材データベースを作り、企業から求人があった際に紹介するなどキャリアアップを支援する構想もある。
大学側が卒業生組織との連携を強化する理由は、教育内容の充実につなげることだけではない。ファイナンス稲門会でスクールなどを受講した卒業生が、NFSやNBAの教育内容にも興味を持ち、学生として入学するということも考えられるだろう。
さらに、社会人として各方面で活躍する卒業生が早稲田大学の教育をどのように評価し、何を期待しているか、そういった生の声を収集することができる点も大学にとっては大きなメリットといえそうだ。
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