ベネッセ教育総合研究所
特集 今、なぜキャリア教育か
 
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05年度設置の大学院では、学部教員の育成も

 カリキュラムについては、現在も試行錯誤が続いている。学生のニーズや社会の動向に応じて教育内容をフレキシブルに変えていきたいというが、完成年度を過ぎるまでは原則として変更できない。学生からの授業アンケートも参考にしながら、科目の変更や内容の見直しなども含めて、今後に向けての改革が検討されている。
 教員も自己開発の努力が必要だと川喜多教授は言う。日本ではこれまで、キャリア教育の専門家を育成するための大学・大学院は存在しなかった。そのため、キャリア教育の専門家はそれほど多くない。法政大学の場合も、「キャリア教育の実践技法についての修得はこれからだと自戒している」(川喜多教授)。
 そこで、一般的には完成年度を過ぎてから設置する大学院を、開設3年目にあたる05年度に設置する予定だ。高校の進路指導の専門家や企業の人事担当者など、キャリア教育のプロフェッショナルの育成が目的だが、「その教育を通して、教員自身もスキルを学ぶ場」(川喜多教授)とも。大学院で得た教育スキルを学部教育にもフィードバックすることで、キャリア教育全体のレベルを上げていきたい考えだ。また、9月に設立された日本キャリアデザイン学会とも連携し、その中から教員が育ってくることを期待しているという。
 さらに大きな課題として、就職対策がある。川喜多教授は、「小手先の就職の技法を身に付けるための学部ではない」と言い切るが、キャリア意識が高まった学生が望み通りの就職ができないというのでも困る、とも。現在、学部に4人のキャリアアドバイザーを置いて相談に応じているほか、就職委員会を立ち上げて就職先の開拓も始めているという。



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