ベネッセ教育総合研究所
特集 コンペ型事業を考える
 
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【特色GP:21世紀COE 高校生アンケート】
関心は高いのに情報は届いていない?
 特色GPと21世紀COEの実施については、高校生の3人に1人しか知らないことが、編集部の調査で分かった。ホームページなど各種広報物で採択をPRしている大学は多いが、高校生には必ずしも十分に伝わっていないようだ。90%以上が「詳しく知りたい」と答えており、文部科学省や大学には伝える内容と方法の見直しが求められる。

新聞やテレビでGPを知る

 編集部では10月中旬、(株)進研アド発行の高校生向け受験情報誌「進研プレス」の読者モニターを対象に、特色GPと21世紀COEの認知度や関心についてアンケート調査を実施した。2年生、3年生それぞれ500人計1000人に調査票を送付。地域によって、モニター登録者の数にばらつきがあるが、ほぼ全国に分布。うち、2年生102人、3年生201人の計303人から回答があった。
 アンケートではまず、特色GPについて聞いた。「文部科学省では、優れた教育を行っている大学を選ぶ『特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)』を実施しています。あなたは、そのことを知っていましたか」との質問に、「どの大学が選ばれたかも知っている(一つの大学だけでも可)」が2年生、3年生を合わせた全体の16.3%、「プログラムの名前は聞いたことがあるが、どういうものか知らなかった」「大学を選んでいることは知っていたが、プログラムの名前は知らなかった」を加えても、33.6%と3人に1人しか特色GPの存在を知らない。学年別に見ると、3年生では40%近くが何らかの形で知っているのに対して、2年生では約20%(図表1)。3年生では、5人に1人が選ばれた大学も知っていた。

図表

 特色GPを「知っている」と答えた2年生と3年生計103人に、何を通じて知ったのか複数回答で聞いたところ、全体では「新聞やテレビなどのニュース」が48.5%で最も多く、「大学案内」の35.9%が続いた。特に2年生では新聞、テレビが61.9%と、3年生に比べて20ポイント以上も高い(図表2)。逆に3年生では「大学案内」との回答が32.3%と2年生を大きく上回る。「高校の先生」との回答は計13.6%にとどまり、高校ではこのテーマを積極的に取り上げているとはいえないようだ。「高校の先生」と答えた14人のうち、「担任以外の先生が授業で」が6人、「進路指導の先生」が5人だった。

図表

 特色GPについて「どの大学が選ばれたか、どんな教育をしている大学なのか、詳しく知りたいと思いますか」との質問では、「自分が興味のある大学については詳しく知りたい」が全体の77.6%を占めた。これに、「選ばれた一つひとつの大学についてもっと詳しく知りたい」の14.5%を加えると、90%以上になる。特色GPのような教育の特色に関する選考内容を知りたいと思っているにも関わらず、実際にはこうした事業が実施されていることも知らないのが実情といえる。ただし、2年生と3年生では回答に大きな差が出た。2年生では「自分が興味のある大学については詳しく知りたい」が81.4%だったのに対して、3年生では30.0%にとどまり、「知りたいとは思わない」という生徒も40.0%いた(図表3)。10月中旬には志望校を絞り込んでいる3年生が多く、この時期の関心事は他のことに移っているとみることもできる。

図表

 「受験する大学を考える時に、大学が『優れた教育』で選ばれたかどうかを、どの程度参考にしますか(しましたか)」との質問では、「行きたい大学が選ばれたかどうかは気になるが、選ばれなくても受験すると思う」が全体の55.4%を占めた。一方で、「選ばれたかどうかを判断材料の一つとして考えたい(考えた)」との回答が全体で27.4%、2年生では33.0%もあった(図表4)。2年生の3人に1人が、このような意識を持っているということは、採択された大学が募集広報を考える際に重要なポイントになりそうだ。

図表



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